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服のまま水遊びをする女の子と競馬と特撮と『アイドリング!!!』とAKB48が好きです。
『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第61話
■決戦前―3の3■
それは明らかに人影だった。
マユミはスカジャンのホックを胸元まで一気に閉めると、隣にいるサキコを肘でつついた。
「ん――なに?」というサキコに向かい、マユミは人差し指を自分の唇の前に立て、目で人影がいた方向を示す。
門柱が邪魔でよく見えないが、校門の向こうに、三つの人影があった。マユミは相手の視線の死角に入れる場所をとっさに探した。校門の内側と外側には、タイヤやドラム缶や工事用のバリケードが無造作に積まれている。マユミとサキコはドラム缶の裏側に隠れた。
馬路須加女学園の正門へ続く、ゆったりとした坂道を、三つの人影はぶらぶらと散歩でもするかのような速度で歩いてくる。なにやら話をしているようだが、ここからは内容までは聞き取れない。三人はマジジョの制服であるセーラー服を着ておらず、垣間見える限りでは暗い色のジャケットと青と黒の模様が入ったスカートといった服装だ。
「アリジョか?」サキコが声を細めて聞いてきた。
「わかりません」マユミも声を潜めて答えた。「でも、うちの制服じゃねえし、こんな時間に外をうろついてるのはおかしいです。聞いてませんよね、生徒会からなにも?」
サキコは頷いた。
生徒会により緊急事態宣言が発令された馬路須加女学園は、生徒会の許可なく学園外へ出ることが禁じられている。買出しなどでやむを得ず出る場合は、巡回当番の生徒にその生徒の名前と人数が通達される。いま当番のマユミとサキコはなにも知らされていない。つまり三人は、馬路須加女学園の生徒ではないということになる。
マジジョじゃなければ、「敵」だ。
先制攻撃をするべきかどうか、マユミは迷った。もうすぐ歩哨の交代時間だ。功を焦るより、交代要員が来てから攻めたほうが有利に決まっている。
足音と声がだんだんと大きくなってくる。
逡巡したのは一瞬のことだった。迷うなら、やれ――だ。チャンスの神様はそう何度も振り向いてくれない。
マユミは手の甲のグローブを引っ張り、戦闘体制に入った。
――また、チャンスが来た。やっぱり、あたしは持ってる……。
ここで「敵」を締め上げ、戦歴のひとつに加える。地味ではあるが、天下獲りへのひとつの布石になるだろう。なに。三人を同時に相手をするなど、どうってことはない。
そこまで考えたとき、三人のうちの誰かの声が聞こえた。「――だれもおらへんのかいな?」
関西弁? マユミはサキコと顔を見合わせた。
「まだ始まってへんとちゃうの?」と別の声。「だから言うたやろ。早すぎるって」
「にしては妙やな……。ほら、窓には人影、見えるやろ?」
「ホンマや」
最後の声は異様に甲高かった。
マユミはサキコに視線で合図してから、校門に向かって右側へと忍び足で移動した。敵を発見したときのために打ち合わせをしておいた陽動作戦の開始だ。
作戦といっても単純なものだ。サキコが「敵」の前に立ちふさがり注意を引きつけておき、その背後からマユミが三人をぶちのめすだけ。
マユミは姿勢を低く、足音を立てないように校門の裏側を、右手に向かって走った。
サキコは逆方向に移動しているはずだ。十秒ほど走ったあとに振り返ると、サキコはすでに配置を完了していた。マユミは親指を立てた左手を、三人のいるほうへ倒した。
作戦開始だ。
サキコは体を隠しているドラム缶の陰から、手のひらほどの大きさの石を三メートル離れた位置にあるドラム缶に投げた。石は命中し、三人の意思をそちらに向けさせるには充分な音を立てた。
「――なんやッ」甲高い声がした。
そのときサキコはすでに、ドラム缶の上にいた。そして持ち前の細くしなやかな肉体を跳躍させ、校門を超えた。それは飛翔と言うべき、華麗な動きだった。
「――ッて、だれやねん……ッ」
いきなり上空から見知らぬ相手と対峙した三人は狼狽している様子だった。
空中のサキコは、左脚をたたみ、右脚を一直線に伸ばしていた。それは仮面ライダーの必殺技のようで、まるで空中に静止しているかのように優雅だった。
とりゃああああああああ、と怪声を発したサキコの右脚は、三人のうちの一人――やけに頬骨の目立つ女の胸に命中した。女は尻餅をついたが、キックの勢いはそれだけでは止められなかった。小さな体はもんどりうって数メートル先まで転がった。体が回転し、遠心力でミニスカートが広がった。先ほどぼんやりとしか見えなかったスカートに描かれていたのは豹柄だとわかった。三人とも同じ服装ということは制服だろうか。しかし、豹柄の制服なんて、この県の学校にはないはずだった。
「さや姉――ッ」長い髪から出ている大きな耳が目立つ美少女が叫んだ。
「さやかっ」もう一人のふっくらとした顔に大きな瞳が特徴的な少女の声は変に甲高かった。
そこでマユミも動いた。
サキコのようにしなやかな動きとは言えないまでも、マユミは極真空手で鍛えた堅牢な肉体を、一瞬で限界まで加速した。地面から一メートルほど盛り上がった土の上り坂を走り、捨ててあるタイヤをバネにして校門を一気に越えた。
残された二人はマユミには気づいていないようだった。サキコと対峙し、こちらに背を向けたままでいる。
チャンスだ。マユミは脱兎のごとく走った。
サキコは二人の相手と同時に闘っていた。さすがは『サキコ師匠』、いい動きをしている。
二人の背中まであと一秒――といったところで、マユミは右側から大きな衝撃を受け、反対側に弾き飛ばされた。まるでそこに壁があったことを知らずに突進していたようだった。二人の背中を取ることに意識が集中していたから、まさか自分がやられるなどとは微塵も考えていなかった。しかし、これこそ自分とサキコが相手に仕掛けようとした戦法だ。マユミは転倒しつつ、自分の迂闊さに腹を立てた。
「痛って……」右の二の腕がじんじんと痛む。倒れた際に地面の砂利で左のこめかみを擦った。「チクショッ――なんだってん……」
倒れたまま見上げると、そこには先ほどサキコに斃されたはずの、『さや姉』と呼ばれた女がいた。こちらに背を向け、両腕を軽く広げたまま、横顔を見せている。あの背中だ。あれが自分を弾き飛ばしたのだ。
鉄山靠(てつざんこう)――正しくは貼山靠と呼ばれる八極拳のこの技を、マユミはビデオゲームの世界でしか見たことがなかった。実際に自分がやられると、こんなにも衝撃があるものなのか……。マユミは怒りとともに感嘆した。
いや、それ以上に驚くべきは、さや姉の回復力だ。サキコのキックを食らったというのに、たった数秒で立ち上がり、あろうことかマユミに深刻なダメージを与えるとは……。
サキコがいるはずのほうに目を向ける。そこではサキコが二人と同時に闘っていた。が、マユミに気づいたサキコは戦闘をやめて後退し、二人と大きく間合いを取った。
「マユミっ、大丈夫?」
「大丈夫っす。師匠」
スカジャンとスカートについた砂を払い落としながら、マユミは立ち上がった。この時点でも、まだ自分たちが有利だ。人数は一人少ないが、陣形としては挟撃を保っている。
「なんやねん、あんたら」甲高い声の少女が言った。
「言うとくけど、先に仕掛けたんは、あんたらやで」さや姉は冷静な口調でそう言った。
「二人ともマジジョの生徒?」と、大きな耳の少女。
マユミはそれらには応えず、三人の「品定め」をした。先ほどマユミに浴びせた技といい、風格といい、どうやらリーダーはさや姉のようだ。
マユミはサキコを見た。サキコは気づかれたとしても相手には意味が読み取れない、わずかな動きで次のターゲットを示した。
さや姉――。
正面から仕掛けるのはサキコ。マユミはその背中を守る。二人は一瞬でそこまで「会話」をすると、すぐに行動に移った。
サキコは長い脚を大きく伸ばし、跳躍するかのようにさや姉に迫った。
マユミも駆けた。
サキコはさや姉まであと二歩という間合いで、右手の人差し指と中指だけを伸ばし、体の後方に伸ばした。この指を相手の体に差し込む、サキコの必殺技――「革命のエチュード」が出るまであと二秒。指が差し込まれる部位はどこでもかまわない。鍛えられ、鉄のように硬くなったサキコの指を食らい、立っていられる者はいなかった。
一秒後、サキコとさや姉が交差した。
サキコが放った「革命のエチュード」に、さや姉は臆することなく相対した。
「フッ」さや姉は腹の底から気合を吐くと同時にやにわに体を横に向け、脚を大きくがに股に広げ、両手を思いっきり伸ばした。そのシルエットは、マユミに沖縄の首里城を髣髴させた。
――あれは……っ。
その掌底が、突進してきたサキコの二本指と交差した。
マユミはその瞬間、サキコの敗北を悟った。
さや姉の掌底は、サキコがときどき「背中」とからかわれている薄い胸の真下に重く命中した。それだけでもかなりの衝撃があったのだろう。サキコは音にならない悲鳴を上げ、体を折った。
「――フッ」さや姉は連続した動きで素早くサキコの背後に回ったかと思うと、その直後に先ほど見せた鉄山靠をサキコに食らわせる。サキコは今度は折った体を再び伸ばされ、二三歩前につんのめった。
さや姉は容赦しなかった。
「ハアアアッ――」さらにサキコの、今度は本当の背中に、これ以上ないくらいに伸ばした両手の掌底を打ち込んだ。サキコはあまりの衝撃で宙に浮き、マユミの足元まで飛んできた。スカートは完全に捲くれ、サキコが着けていた真っ赤な下着のお尻と、細く長く美しい脚が露わになった。
さや姉がサキコに最初の一撃を加えてから、一連の攻撃が終わるまで三秒とかかっていない。
――あれは八極拳奥義……崩撃雲身双虎掌っ。
マユミは驚嘆と同時に恐怖に襲われた。
話に聞いたことはあったが、実際に見たのは初めてだった。本当に使える者がいたとは……。
「どやっ?」耳の大きな女が両手を腰に当て、その言葉の通り『どや顔』でサキコを見た。「さや姉の必殺技、ホーゲキウンシンソーコショーやで」
「ちょっ……みるきー」さや姉が右手を伸ばし、その指先が宙で二三度動いた。「なんか自分がやった、みたいな感じになってるけど、やったの私やから」
「まあまあ、そんなのどっちでもええやん」『みるきー』が笑った。
「よくないし」
――クソッ。
マユミは唇をかんだ。舐めやがって……。しかし、体が動かなかった。腕に覚えはあるが、あの動きは伊達ではない。その上、さや姉の鉄山靠を受けた痛みが、まだ右肩に残っていて力が入らない。いま闘えば――負ける。
「二人ともふざけてる場合ちゃうで。あと一人残ってる」甲高い声の女がマユミを二人に示した。
一対三……。
腋の下が汗で濡れるのがわかった。
マユミはそれでも空手の基本である、三戦立ちで敵と対峙した。
負けることがわかっていても闘わなくてはならないときがある――。
使い古されたフレーズが頭の中をよぎった。
せめて一人くらいは斃しておきたいものだ。「敵」かどうかわからない相手であっても、ダチがやられたのだからこのまま退くわけにはいかない。
マユミはじりじりと迫る三人を視界に入れたまま、身じろぎせずに「機」を待った。こちらから先に攻撃できる、一瞬の隙が生まれるそのときを――。
そのとき。
頭上で、さあっと空気が切れる音がしたかと思うと、マユミと三人のあいだに大きな影が落ちた。緊張が一瞬解かれ、マユミは顔を動かさず、視線だけを空に向けた。
たくさんの鳩と鴉が密集し、太陽の光をさえぎったのだ。鳩と鴉だけではない。いつの間にか、これまで見たことのない数の鳥が、馬路須加女学園上空を囲むように滑空している。その異様な光景に、マユミは少し恐怖を感じた。
と――目前の空気の流れが変わった。
ハッとしたときにはもう遅かった。
「隙あり、や――ッ」
みるきーのミドルキックがマユミに襲い掛かってきた。
自分の迂闊さを後悔している暇はなかった。直撃を避けようと、マユミは反射的に後退した。それりでもみるきーの爪先は、サキコとはちがう、マユミの大きな胸の下に突き刺さろうとしていた。
マユミはキックの衝撃を覚悟し、心と体を強張らせた。
と、突然――黒い背中がマユミの目前に現れた。
電光石火と呼ぶにふさわしい速度だった。その黒いライダースジャケットの背中には、白い天使の刺繍が入っている。
プリクラ――菊地あやかがみるきーのミドルキックを、胸で抱えるようにして止めたのだ。
あのスピードで繰り出された脚を瞬時で掴み、その動きを止めるとは普通ではない。さすがは『純情堕天使』のリーダーを張っているだけのことはある。
「だれや、あんた?」みるきーは脚を掴まれたまま誰何した。
「馬路須加女学園二年菊地あやかです。この脚、下ろしてください」
「なかなかやるやないか……」みるきーは人懐こい笑顔を見せ、足を引いた。「蹴りを止められたなんて初めてや」
――助かった……。
マユミは安堵した。巡回の交代要因がプリクラで助かった。もしも、元チームホルモンのだれかだったら返り討ちにあっていたところだった。
ザッザッと砂を踏む足音とともにいつのまにか現れたナツミ、トモミ、ハルカはさや姉たちを取り囲みつつあった。
「私たちは馬路須加女学園『純情堕天使』の六人です。本当はあと四人いるのですが、ここにはちょっと来ていません。それとも呼んだほうがいいですか?」
みるきーがさや姉のほうを向いた。
「今さらやめる、て――先に仕掛けてきたのはそっちやんか」さや姉は冷静な口調でそう指摘した。
「そうかもしれませんが、こちらも一人潰されています。それで手打ちにしてくれませんか?」
「どうする山田?」
山田と呼ばれた甲高い声の少女は小さく首を横に振って、両手を無造作に広げた。「一旦休戦やな」
「そやな」さや姉は頷いた。
「賢明な判断です」それからプリクラはナツミとトモミとハルカに向かって、サキコの手当をするよう促した。
トモミとハルカが、意識はあるものの体にかなり手痛いダメージを受け、自分ひとりでは立つことのできないサキコの体を、二人で力を合わせてナツミの背中に乗せようとし始めた。臨時保健室となっている体育館に連れて行くようだった。
「ところで――あなたたちは……?」
「うちら三人とも難波からやってきたんや。来年からこの学校に入学するんでな」さや姉が答えた。
ということは全員中学生か。それにしては、さや姉とみるきーはともかく、山田はえらく年上に見える。
「今日は通学時間の確認と学校の下見に来ただけやのに、手荒い歓迎会が開かれたってわけや」山田が皮肉たっぷりに答えた。「ワルがそろってるとは聞いとったが、いきなりケンカを仕掛けられるとは思わんかったで」
「今日は特別で、みんなピリピリしているんですよ」プリクラは言った。「――にしても、難波とはまた遠いところから……」
「あんたら生徒のくせに知らんのかいな。この学校、関西でも知らんヤンキーはおらへんで」
「そうなんですか。中にいると実感できないものです」
「うちらも難波じゃ知られたヤンキーや」みるきーが腕を組み、まるで口上を決めるように言った。その口調はどことなくふざけているように思えたが、それがみるきーの持ち味なのだろう。人を舐めたような態度であるのに、不思議と腹は立たない。「難波――いや、関西の天下はもう獲った。今度は関東で実力を試したいと思ってな」
「――というわけで、せっかく来たんで学校の中でも見てみたいんやけど……」さや姉が言った。「先輩の皆さんで案内してくれへんか?」
マユミはプリクラと顔を見合わせた。
もちろん、今日はそんなことをしている暇はない。
だが、プリクラはそれこそ純情そうな天使の笑顔を浮かべ、こう言った。
「そうですね。今日は『本当のマジジョ』を知ってもらえる最良の日です。三人とも、ツイてますよ」
マジジョの制服を着た二人の生徒と、青い豹柄のスカートという変わった制服の三人が校門の中に消えていくのを、その少女は桜の木の枝の上から眺めていた。
「Осталась незамеченной……」
少女は誰ともなく、異国の言葉でつぶやくと、階段を下りるようにして枝から枝へと飛び移り、あっという間に地面に降り立った。白と黒のチェック柄のプリーツスカートがまるでパラシュートのようにふわりと広がった。
その少女の背後に、同じチェック柄のセーラー服を着た、もう一人の少女が桜の木から下りてきた。着地のとき、セーラーの下に隠された胸が大きく揺れた。「やっぱり様子を見て正解だったわね、あーにゃ」
「だから言ったでしょう、ゆうこす」異国の言葉を話す少女――あーにゃは、今度は日本語で答えた。「なにかヘンだって……」
「これからどうする?」ゆうこすのアヒル口がかわいらしく動いた。
「なんとかして潜入する」
「どうやって?」
「考える」
「いまから? 大丈夫?」
「私に任せなさい」あーにゃは芝居がかった口調で、「私は大スターになる星のもとに生まれてるんだから」
「それが心配なんだよなぁ……」ゆうこすの垂れた瞳の目じりが、さらに大きく下がった。「ま。それでもあんたと一緒にいるとそんな気がしてくるから不思議なんだけどね」
「でしょ?」あーにゃはゆうこすを指さすと、次の瞬間、さっと顔色を変えた。「あっ。だれか来たっ……」
言うが早いか、あーにゃはすぐさま木の枝に捕まり、懸垂の要領で体を持ち上げると、猿のような身軽さでみるみるうちに高い場所の枝まで登っていった。
もちろん、ゆうこすも振り返る暇もなく、瞬時に桜の木に掴まった。そしてあーにゃのそばまでやってくると、顔を見合わせて声を出さずに笑った。
【つづく】
[ 2012/05/12 00:00 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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CM(3)
『マジすか』小説、書いてます。
『マジすか学園』の小説ですが、前回から一ヶ月以上経ってしまって申し訳ないです。
あいだに同人イベントなどあってなかなか時間がとれませんでした。
でも、時間の合間を見つけてはちょこちょこ書いてます。うまくすればあと二三日のあいだに公開できると思うので、もう少しだけ待っていてください。
[ 2012/05/08 05:40 ]
独り言。
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CM(2)
コスホリック終了しました。
5/5汐留でおこなわれた同人イベント「コスホリック」にサークル参加してきました。
午後三時からという、朝型のぼくにとってはちょっとキツいスケジュールでしたが、何事もなく無事に終えることができました。
18禁イベントということで、会場の中はそれはそれは過激なコスチュームのお姉さんがたくさん……。スペース内で背後を振り返ると、むき出しになったお尻が並んでいるという状態でした。ただ、ぼくは着衣女性にこそエロさを感じるので、そういう光景にはほとんど魅力を感じなかったのですが(笑)。
今回、売り子さんとしてお手伝いいただいたのは、新作のモデルをつとめていただいた陸遊馬さんです。
陸さんには、写真集の中でも着ている『ラブ●ラス』のセーラー服を着てもらいました。やはりむさ苦しい男が立っているより注目度がまったくちがいましたね。どこかのイベントに参加するときは、またお願いしたいです。
それでは、またどこかでお会いしましょう〜。
[ 2012/05/06 22:51 ]
wet
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CM(0)
コスホリック新作のお知らせ・その5。
いよいよコスホリック05が明日に迫りました。
ここのところ連続で新作の案内をさせてもらっているのですが、今日はその最後の作品です。
去年撮影したにもかかわらず、諸般の事情で公開が延び延びになっていた作品がいよいよ世に出ます。
タイトルは『願望少女』です。
モデルは『濡れ娘。』初登場の貴島マリアさん。初めての着衣入浴姿をカメラに収めさせてくれました。
続いては、制服の下にスクール水着を着ての撮影です。
最後も別のパターンのスクール水着を着て、その上に今度はセーラー服を……。
以上、3種類の衣装を収録したDVD-ROMを2000円で販売いたします。
この写真集は当面、ダウンロード販売をいたしませんので、よろしければぜひ明日、お求めください。
では、コスホリックでぼくと握手!!!
[ 2012/05/04 15:35 ]
wet
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コスホリック新作のお知らせ・その4。
コスホリックまであと2日!!!
ただいまパッケージ印刷やらCD焼やら、あれこれ作業中です。
そして今日もコスホリックで発売する新作のサンプルを公開します。
モデルは陸遊馬さんで、『涼宮●ルヒの消失』の衣装です。
画像解像度2400×1589の写真を150枚収録で、価格は1000円です。
[ 2012/05/03 12:08 ]
wet
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コスホリック新作のお知らせ・その3。
コスホリックまであと3日!!!
いよいよ作業も大詰めになってきました。そんな中、今日も5月5日のコスホリックで発売する新作のサンプルを公開します。
モデルは陸遊馬さんで、『かん●ぎ』の衣装です。
画像解像度2400×1589の写真を157枚収録で、価格は1000円です。
[ 2012/05/02 20:36 ]
wet
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コスホリック新作のお知らせ・その2。
今日も、5月5日のコスホリックで発売する新作のサンプルを公開します。
モデルは陸遊馬さんで、『ラブ●ラス』の衣装です。黒タイツも着用してます。
1枚のCD-ROMに111枚の画像が入って1000円です。
[ 2012/05/01 22:07 ]
wet
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告知していただきました。
『濡れ娘。』の作品を批評してくださっているブログ『汚れし乙女は美しい』さんが、今度は5/5に『濡れ娘。』が参加するコスホリックについて記事にしてくださいました。
http://yogorshiotome.dtiblog.com/blog-entry-614.html
18歳未満は閲覧禁止のブログですが、見られる方はぜひこちらもご覧ください。
eiji amakiさん、ありがとうございました!!!
[ 2012/05/01 05:54 ]
wet
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コスホリック新作のお知らせ・その1。
5月5日のコスホリックで新作ROM出します。
陸遊馬さんで4種類の衣装で4枚。
新モデルの貴島マリアさんは3種類の衣装を1枚のROMに収録というかたちです。
ここ何日かで集中して見本画像を公開していきます。
まずは陸遊馬さんに、AK●48の衣装のままプールに入ってもらったものから。
ここに公開した画像は、陸さん自身に選んでいただいたものです。
[ 2012/04/30 11:26 ]
wet
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イベント出ます。
前から気になっていたイベントにサークル参加します。
『コスホリック』です!!!
→ 公式サイトは
ここをクリック!!!
名称:デジタル系即売会・コスホリック05(COSHOLIC05)
日時:2012年5月5日(土)
時間:15時〜20時(サークル入場13時30分〜)
場所:ベルサール汐留・2FHALL
(東京都中央区銀座8-21-1 住友不動産汐留浜離宮ビル2F)
初めて出るイベントなのでいろいろ不安ですが、新作持って行きますので、よろしかったら来てください。
詳しくはまた後ほどこのブログにて発表していきます。
では、よろしくです。
[ 2012/04/19 22:03 ]
wet
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第60話
■決戦前―3の2■
ペットボトルのキャップを大慌てでしめたまなまなはそれを捨てるように地面に置き、ふっくらとした体を弾ませながら、みゃおとらぶたんのいる渡り廊下の壁の内側へ走って戻ってきた。
「こ、今度は……みゃお、の、番、だから……ねっ……」息を切らして、まなまなはみゃおを指さした。
「いまはそれより、あっち見ろって……」みゃおは頭を上げ、壁の向こうに目の部分までを出した。
まなまなが置いてきたペットボトルと壁まではおよそ二十メートル。確証はないが、このくらい離れれば安全なような気がする。みゃおは怖くてたまらなかったが、じっとペットボトルを見つめた。
透明だったペットボトルは、いまは白く濁っている。中でドライアイスが気化しているからだ。
「十秒経過……」ストップウォッチ機能が表示された携帯電話を見ながら、らぶたんが言った。
ベットボトルの胴体が丸く膨らんできた。
「まだかな……」みゃおは不安になり、まなまなをチラッと見た。「ちゃんとキャップ閉めたか?」
「閉めたよ。ギュッと」
「ホントか? それにしちゃあ、遅くないか?」
「ホントだよ」
「ビビッてたからなぁ……」
「だったら自分でやれよ」
「二十秒経過」
「あたしはじゃんけんで勝ったん……」
そのとき、パーンッという音が聞こえた。
ペットボトルが爆発したのだ。
みゃおは反射的に頭を下げた。
壁の向こう側にいくつもの礫が当たる音が連続で聞こえた。壁は衝撃で揺れ、飛んできたパチンコ玉がそこを突き破ってしまうのではないかという恐怖がみゃおを襲った。どちらの音も想像以上に大きく、みゃおは腰を抜かしたように床に座り込んだ。
同時に、校舎のほうでどこかのガラスが割れる音もした。ガラスの向こうに運の悪いやつがいないことを、みゃおは祈った。
「二十二秒……」らぶたんが青い顔をして、みゃおを見た。「いくらなんでも、これ……ヤバすぎない?」
「ふんっ、怖気づいた?」
みゃおは恐怖を隠すため、そう強がって立ち上がろうとした。しかし、下半身が言うことを聞かず、両手を床についたまま、みゃおは苦笑いをした。
「みゃお……」まなまなが、みゃおが被っていたトレードマークの黒いミルフィーユハットを取り上げた。
ミルフィーユハットの側面に直径五ミリほどの穴が開いている。
「あーっ……」みゃおはまなまなからハットを奪うようにして、「これ、気に入ってたのにぃ……。くっそ……」
怒りのあまり、みゃおは立ち上がることができた。そして壁を迂回し、ペットボトルが置かれていたあたりの地面に向かった。
地面の土の上には、ドライアイスの欠片が少し残っていた。入れておいた十個のパチンコ玉はもうどこかに散らばってしまって見つからない。見回すと、校舎二階の廊下の窓ガラスが割れているのが目に入った。あんな場所まで届くのかと思うと、みゃおはみずからの行為に恐怖した。
が――だからこそ、いい。
長野せりなと橋本楓にシメられた屈辱を忘れたことはない。いつか復讐をするべきで、そのチャンスは今回の闘いで巡ってくるだろう。だが、己の冷静な部分はこうも告げていた――あたしたちに勝ち目はない。
ケンカの実力で敵わないのは、すでに実証されている。明らかにこちらに有利な場所を選び、雑兵がほとんどとはいえ圧倒的多数で闘ったにもかかわらず、負けた。
そうなればあとは武器に頼るしかない。格闘能力を必要としないものなら最高だ。前線に出て、あの恐怖を味あわなくてすむ。
みゃおはまなまなとらぶたんの三人で、山椒姉妹のアジトとなっている理科室に集まって会議をした。
「爆弾とかよくないですか?」そう言い出したのはまなまなだった。「仕掛けておけるものとか、投げつけるものとかなら直接闘わなくてもやっつけられるし」
「いいね、それっ」らぶたんが笑顔になった。「ネット見てみればなにかわかるかも」
そこでみゃおはパソコンをインターネットにつなぎ、どんな武器なら手軽に作れるかを調べた。本物の爆弾の作り方にはアクセスできなかったが、動画投稿サイトで面白いものを発見した。
それがドライアイス爆弾だ。
五○○ミリリットルのペットボトルの中に砕いたドライアイスを入れ、水を注ぎ込む。あとは蓋をして気化したドライアイスが膨張して破裂するのを待つだけ。どれも手に入れやすい材料だし、製造方法も簡単だ。問題は殺傷能力と爆発まで時間がかかることだが、これは実験によってデータを収集することで解決できる。
肝心のペットボトルは学園内のゴミ箱を漁って一○○本以上を集めた。ドライアイスはスーバーマーケットの食料品売り場で配っているものを盗んできた。早く「実用化」したかったが、三人でペットボトルを洗浄し、ドライアイスを小さく砕くだけで夜は明けてしまった。三人ともだれかに「手柄」をとられるのは嫌だった。
実験は今朝になって、ようやく始められた。
みゃおはペットボトルの破片を拾った。ひとつひとつは小さくて柔らかいが、相手の至近距離で爆発させることができれば傷を与えられるし、なによりパチンコ玉入りのものは想像以上の破壊力があった。
最大の問題はタイミングだ。早くても遅くてもダメ。そのためにはドライアイスと水の配合を知る必要がある。残された時間は少ない。
また、どんな場所でどのように使うべきかも考えなくてはならない。襲撃までに間に合うか――一刻も時間を無駄にはしたくなかった。
そのとき、空が一瞬暗くなった。
見上げると、そこには一塊になって滑空する何十もの鴉がいた。それぞれの鴉たちは、太陽とみゃおを結ぶ直線上で羽を広げ、数十もの輪を描いている。気持ちのいい光景ではないが、これからこの学園で起きる闘いにふさわしい雰囲気と言えるかもしれない。
「これから十個作って爆発までどのくらいかかるか平均を出すわ」みゃおはまなまなとらぶたんの元へと歩き出した。「まなまなは引き続き、投擲係。らぶたんは計測。私は記録をつけるからね」
「自分が一番楽じゃねぇか――なぁ……?」まなまなが低く呻いて、らぶたんに同意を求めた。
「だよな、ずりぃ」らぶたんが頷いた。
「なんか言ったか?」聞こえていたが、みゃおはわざとらしく訊ねた。
「いーえ、なにも」
まなまなとらぶたんの声がデュエットに聞こえた。
【つづく】
[ 2012/04/02 14:11 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第59話
■決戦前―3の1■
小歌舞伎は大歌舞伎の右の耳たぶを折り曲げ、外からの音を聞こえないようにしてから、左の耳たぶをできる限り口の中に入れ、わざと唾液の音を立て、吸い、甘噛み、舐めた。
いま大歌舞伎の頭の中には、性器への愛撫を連想させる淫靡な音だけが響いているはずだった。大歌舞伎の茂みの奥に指を侵入させれば、きっとそこはねっとりとした蜜が溢れそうになっているにちがいない。しかし小歌舞伎は左手を大歌舞伎のくびれた腰に這わせるだけで、それより下を攻めようとはしなかった。
大歌舞伎が声を出さないのは、隣の個室にだれかが入っているからだ。大歌舞伎は右手で口を塞ぎ、小歌舞伎の練熟した性技に耐えている。この学園では、トイレの個室を利用して行為に耽るカップルなど珍しくはなかったが、快楽に耐える自分というシチュエーションが大歌舞伎に、より深い快感をもたらしているのだろう。そんな大歌舞伎を、小歌舞伎はかわいいと思う。
早朝のトイレで行為に耽ったのは初めてだが、こんなに頻繁に人が出入りするとは思わなかった。昨夜は学園にいたすべての生徒たちが学校に泊まった。もちろん二人も例外ではない。しかし、今日これから始まるケンカのことを考えると、小歌舞伎は一睡もできなかった。
二人は以前、森田涼花が率いる連中との戦いに敗れている。負けたというより、手も足も出なかったといったほうが正しいかもしれない。いいように遊ばれ、半裸にされた屈辱を、小歌舞伎は忘れてはいなかった。
恐怖はある。相手はあまりにも強かった。また同じ結果になるだけのような気もする。
だが今日こそ勝ってみせる。
そのためには吹っ切らなければいけなかった。屈辱は反撃の糧にはなっても、決定打にはなれない。
冷静に考えて、自分一人で森田涼花に勝つのは難しいだろう。しかし、二人なら? 大歌舞伎との完全なコンビネーション技が決まれば、勝てるかもしれない。この前の戦いは心の準備もないまま闘った結果、油断しただけだ。
小歌舞伎は、大歌舞伎のセーラー服のスカートの中に手を入れた。まだ下着に手は届いていないというのに、スカートの中は湿気で充満しているように思えた。小歌舞伎の指先は大歌舞伎の太ももを、産毛だけに触れるような微妙なタッチで登っていく。女の体でもっとも敏感な部分に触れようかというところで、小歌舞伎はその手を止めた。
「――姉貴」小歌舞伎は大歌舞伎の耳たぶから、ほんのわずかだけ唇を離した。「続きは今夜にしましょう」
大歌舞伎は喘ぎながら「ど、どうして……?」
「このムズムズした感じを、この消化不良な感じを、途中で止められたこの怒りを、アリジョの連中にぶつけてください」
それこそが、小歌舞伎が早朝から行為に及んだ理由だった。大歌舞伎の体に火を点け、そのままほったらかす。もちろん小歌舞伎自身も、だ。触らなくても、自分の体が完全に反応していることを、小歌舞伎は知っている。
「そんな……ねぇ、明日香……お願い、いかせて……一回でいいから……」
大歌舞伎は小歌舞伎に抱かれているときだけ、小歌舞伎を名前で呼ぶ。
「ダメです、姉貴」小歌舞伎は電気のスイッチを切るように、あっさりと大歌舞伎から離れた。「この先は勝ってから、です」
小歌舞伎は服の乱れを直しながら、個室のドアを開いた。そして振り返って、大歌舞伎にこう告げた。「姉貴が本気になったらアリジョなんて目じゃねぇッス。勝てますよ、必ず」
チョウコクは百人一首部の部室で正座をし、瞼を閉じていた。
心を落ち着けたいときは、ここでこうして正座をするか、街を走るかのどちらかを実践していたが、今日は学校から出ることを許されなかったし、朝の静寂には走って体を温めるよりも、冷たい畳の上で正座をするほうが気分が締まった。
チョウコクは、数時間後に始まる闘いに思いを致す。もっとも大切なのは、自分は満足に闘えるだろうか、ということだった。それに比べれば、マジジョの勝敗など、どうでもいいという気持ちすらある。
己が己であること――それこそが大切だ。それはケンカに対してだけではなく、チョウコクの生きざまそのものであるとも言える。
閉じていた瞼を開き、正面の壁にある窓の外を見た。雲もほとんどない、気分のいい青空があった。空を飛ぶ鳥の数がいつもより多い気がする。
そのとき、部室のドアがノックされた。こんな時間に百人一首部に訪れる者がいるとは考えにくい。チョウコク自身への来客と考えるのが自然だ。そしてチョウコクにはその人物に心当たりがあった。
「あいている」と、小さいがはっきりとした響きを持った声で、チョウコクは応えた。
ドアがガチャリと音を立てて開くと、そこにはチョウコクが想像したとおり、男子用学生服を着た人物が立っていた。
「やっぱりここか」
学ランが言った。
面白い奴だ――チョウコクは思う。
難しい言葉で言えば性同一性障害というらしい。体は女なのに心は男……。「普通」に考えればおかしなことなのかもしれないが、世の中にはそういう奴もいたほうが面白い。
「おはよう」チョウコクは答えた。「眠れなくてね」
「あんたもか。俺もだ」学ランは年下だが、チョウコクにはタメグチをきく。年功序列に厳格なヤンキーとしては本来は看破できない行為だが、学ランが相手なら許せてしまうのが自分でも不思議だった。
「俺も付き合うぜ」学ランは近づいてきて、チョウコクの隣で正座をした。
「私はもうじき終えるつもりだったんだがな」
「いいじゃねぇか」
チョウコクは苦笑して、学ランの行為を黙認した。
チョウコクに対して、こんなふうに接する人間は過去にいなかった。大抵の人間はチョウコクに畏怖するか敵意を剥きだしにした。それはチョウコクみずからがそういう振舞いをさせるような態度をとり続けたからでもあった。
中学生時代――チョウコクはある事件を起こした。きっかけはみずからの思慮のない、浅はかな行為によるものだったが、その後の展開はチョウコクの中に眠っていた大人への不信感を決定付けた。そしてチョウコクは坂を転がるようにヤンキーとなった。
その後の「チョウコクの世界」には、基本的に「敵」しかいなかった。だから、これまで親友と呼べる者など一人もいなかった。
つい、この前までは――。
隣の学ランを見る。そのことに、瞼を閉じている学ランは気づいていない。
チョウコクも瞼を下ろした。
沈黙は武器にもなるが、ときとして自分を傷つけるものになりえる。だが、こうして自分だけの世界にいるときは、そのどちらでもなく心を安らかにしてくれる。特に戦いの前の静寂は大切だ。心の準備体操のようなもので、拳を交わすときに冷静でいられる。
と――しばらくそうしていただろうか。不意に学ランが話し始めた。「闘わないと思ってたよ、正直言って……」
「私が、逃げると?」
チョウコクは瞼を閉じたままだった。学ランがどういう表情なのか、こちらを見ているのかもわからない。
「そういうことじゃなくてさ……なんて言うか……あんたが学校のために闘うってのは、あんたらしくないって言うか……。だから、敦子が体育館から出て行ったとき、オレはあんたもそのあとに続くと思ったんだ。どうして残ったんだ?」
「――あらためて言われると……なんでだろうな。月並みに言えば、私は私なりに、この学校を愛しているから、かな。それに、守りたいやつができたんだ。そいつは多分、私より弱い。けど、私を守ろうとしている。無茶を承知で。それに応えなけりゃ女じゃない」
ふたたび、静寂があった。
「学ラン……」チョウコクは瞼を開き、学ランを見た。「おまえの背中――私に守らせてくれ」
チョウコクの視線に気づいたのか、学ランは目を合わせてきた。「それはこっちのセリフだ。惚れた女を守れないようじゃ、男が廃る」
チョウコクは微笑んだ。
学ランとなら、うまくやれそうな気がする。
そのとき、外の鳥の鳴き声がにわかに大きくなってきて、チョウコクは窓を見上げた。
遠くの空にカラスの集団がいた。鳩や雀も。いつも目にする鳥たちだったが、どこか様子がちがう。理屈ではなく単なる直感であるものの、チョウコクの本能は得体の知れない不気味さを感じていた。それはもちろん、これから始まるアリジョとの闘いに対する不吉な予感だった。
「――どうかしたか?」学ランが聞いてきた。
「いや……なんでもない……」
不安をいだかせたくないため、チョウコクは反射的にそう答えた。
チョウコクは不安をかき消すため、瞼を閉じた。
【つづく】
[ 2012/03/21 06:01 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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岩田華怜。
ぼくはこの子、推すよ。
[ 2012/02/29 22:24 ]
アイドル
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第58話
■決戦前―2■
「行ってきます」
前田敦子は小さな声で父にそう告げ、玄関のドアを開いて外に出た。
学校に行くつもりはなかったが、父に怪しまれないよう、制服は着てきた。カバンも持っている。いつもと同じ、登校するときのスタイルだ。
駅へと続く道を歩きながら、今日はどうしようかと考えた。平日の金曜日に、セーラー服姿の女の子が街中にいたら補導の対象になる。補導が怖いわけではなかったが、警察に行けば身元を調べられ、過去の事件のことをあれこれほじくり返されるに決まっている。両親にも連絡され、そこでも言い訳をしなくてはならない。それは本当に面倒くさいし、なにより不快だ。
一日中、列車に乗っていよう、と思った。列車の中なら、警察はほとんどいないだろう。都会へ向かう長距離列車の中で、ぼんやりと過ごす。着いたら折り返せばいい。馬路須加女学園に転校してきてからというもの、心が休まる日がなかった。今日一日くらいは、介護士のテキストも読まず、なにもせずに過ごしたっていいはずだ。
――今日だけはいいよね、みなみ?
いつだって、みなみは敦子と一緒だ。
敦子はいまも、すぐ隣にみなみを感じている。
「敦子がそうしたいならそうすればいい。そんな日だってあるさ」
シャツの襟をブレザーの上に出し、袖をまくった制服姿の高橋みなみが微笑んでくれた。
それは、みなみの「ばっちゃん」を見舞いに行ったときに見た、あの日の笑顔に似ていた。
ガンギレ高校の生徒五人を相手に始まったケンカが終わるまでは、ものの一分もかからなかった。
私立八木女子高校の敦子は土手の斜面にもたれている一人の生徒に近づいた。
女の襟元をつかんだ。すでに戦意をなくした女は、敦子を怯えた目で見つめた。恐怖に支配された心が、その瞳に揺らめいて見えた。
敦子はその鼻っ柱に右ストレートをぶちこんだ。鼻が潰れるときの、あの「めしゃり」とした感覚があった。女は「ブッ」と鼻からだか口からだかわからない音を出して、土手の斜面に背中から倒れた。
その様子を見ていたのか、すでに地面に倒れている他の四人が、這いつくばったまま敦子から距離をとろうと蠢きだした。その動きは瀕死の芋虫みたいで、追いつめられたときに人が見せる無様さが、敦子にとっては腹立たしかった。
同士に敦子はいらだってもいた。
足りない。
どうしてこうも、弱い連中ばかりなんだろう。
――こんなんじゃ、濡れねえよ。
敦子は自分を、きわめて暴力的な人間であると自覚している。暴力を振るうと、体の中で常にうずめいてる性的な欲望が呼び覚まされる。特に存分に相手を叩きのめしたとき、敦子は濡れた。
満足にケンカができた日の深夜、敦子の淫猥な指はいつも以上に敏感な自分の肌を伝う。指先がふやけるくらいの長い時間をかけ、敦子は自分を高めていく。
人を殴ることが快楽に直結している自分の性癖に、敦子はどうしようもない後ろめたさを感じてはいる。みなみのように「マジに生きる」ことができないのは、この性癖のためだとも思っている。自分は人を殴ることをやめられないんじゃないかと恐怖を感じることもある。しかし、拳を振るう「チャンス」があると、抑えきれない悦楽への欲望が敦子を動かす。
たとえば――いまがそうだった。
敦子は芋虫の一匹を追い、長いプリーツスカートに包まれた尻を、サッカーボールのように蹴り上げた。ぎゃんっ、と女は声を上げ、海老のように体を折った。その反応が面白くて、敦子はもう一発蹴りを加えた。今度はローフアーの踵が、尻の谷間に食い込むように狙った。また、ぎゃんっ、と音がした。
「――助けっ……」芋虫が堪らないのか、声を上げた。
「最初に手ェ出してきたのはそっちだろうが」敦子は低い声で言った。
その直後、敦子は背後から、強い意志を感じた。
新たな敵か? ――敦子は芋虫を放り投げ、瞬時に振り返って迎撃する姿勢をとった。
三メートル離れた場所に、高橋みなみが立っていた。
「みなみ……」
「敦子、よせ」みなみは近づきながら、「もう終わってる」
「こいつらからケンカを売ってきたんだ。動けなくなるまでやられて当然だろ」
「いいからやめろ。それに、前に何度も言っただろう……」みなみは敦子を真正面から、その大きく強いまなざしで見つめた。「マジに生きろって」
みなみは右腕を敦子の前にかざした。
ケンカをやめる誓いの証のシュシュ。
敦子は左腕に、みなみがプレゼントしてくれたお揃いのシュシュを付けている。
なんて答えればいいのかと考えているうちに、みなみが敦子の手を引っ張った。「さ。これからばっちゃんの見舞いに行くんだ、付き合ってくれ」
敦子は不承不承、その場をあとにした。
みなみの祖母――「ばっちゃん」が市立病院に入院して、すでに一ヶ月が経っている。六人部屋に入っているばっちゃんのベッドは南向きの窓際に置かれていて、いつも温かな光がベッドに当たっていた。ばっちゃんはここを「特等席」だと喜んでいた。
ばっちゃんは、いつでも二人を歓迎してくれる。この日も敦子とみなみが病室に訪れると、ばっちゃんは笑顔で迎えてくれた。
「あら。今日は敦子ちゃんも一緒だ。ありがとね」
「こんにちは」敦子は笑顔を作った。
「ばっちゃん、具合どう?」
「おかげさまでね。少しずつ良くなってるよ」
「そうかい? それならよかった」みなみも笑ったが、本心ではないはずだった。
みなみが主治医から聞いた話によれば、ばっちゃんの病状は良くなっていない。ばっちゃんが罹っている肺の病気は、年齢的なこともあって、完全に回復するのは難しいようだ。
それでもみなみは、最期のときは自宅で迎えさせたいと話していた。だから完治はしなくとも、せめて退院できる程度には回復してほしい……ばっちゃんを看取ってあげることが、迷惑しかかけてこなかった自分にできる最期の孝行だ、と――。
「エレナ、もう来た?」
「あぁ。三十分くらい前に帰ったよ。夕飯の支度するって……。あ、そうだ。敦子ちゃん、いまお茶入れるからね……」ばっちゃんは掛け布団をめくり、ベッドから下りようとした。
「あ、いいですよ。お構いなく……」
「ばっちゃん、寝てろって」
「いいんだよ。少しは動かないと……」ばっちゃんは床頭台の上にある急須と日本茶の入った円筒に手を伸ばした。「あ。みなみ、ポットにお水入れてきておくれ」
「はいよ」みなみは小さな電気式の湯沸しポットを持ち上げた。「んじゃ、敦子。ちょっくら、ばっちゃん頼むわ」
「うん。わかった」
みなみが病室から消えると、ばっちゃんは茶葉を急須に入れながら、敦子の名を呼んだ。
「はい?」
「みなみは最近、ケンカしてない?」
「ええ」敦子は頷いた。本当のことだ。
「それはよかった。でも、敦子ちゃん……あんたはしてるね」
敦子は答えに窮した。
「ちゃんと顔に書いてある」ばっちゃんは笑った。「――なんてのはウソでね。敦子ちゃんの手……傷だらけよ」
敦子は拳を見た。
「それに、女の子の手にしちゃ、ゴツいわ。硬いもの、たくさん殴ってきたでしょ」
敦子は苦笑いをした。
「ケンカをしたけりゃおやんなさい。若い人になに言ったってやめないでしょうからね。だったら嫌になるまでやらせるしかないわ。あの子はなんにも言ってないのに自分からやめてくれたけどね……」
ばっちゃんは一人で、納得するように頷いた。
離婚した両親を嫌っていたみなみは、高校に入学すると、妹のエレナと一緒に母方の祖母であるばっちゃんの家で居候のような暮らしを始めた。そのころのみなみは、外に出かけるたびにケンカをして、ばっちゃんに傷の手当をしてもらっていた。
そのばっちゃんが地元の商店街の一角で、ガンギレ高校の生徒に襲われたのは、みなみが二年生に進級したころだった。みなみに恨みを持つ生徒がばっちゃんを拉致しようとしたのだ。たまたま通りがかった敦子がばっちゃんに気づいたため、事態はそれ以上進展しなかった。
敦子の報せで、みなみはアルバイトを早退し、文字通りすっ飛んできた。そしてばっちゃんの顔を見ると、安心したのか泣いた。
その事件と関係あるのかどうかはわからないが、ばっちゃんはほどなく発作を起こし、入院することになった。みなみは自分がヤンキーであり続けることが、ばっちゃんを危険にさらすことだと考えたようだった。みなみはそれからケンカを忌避するようになった。
「それでね、敦子ちゃん。身勝手なお願いってことは充分わかったうえで言うんだけど……みなみを守ってあげてね」
「――はい……」
「いままで斬った張ったの世界にいた人が足洗うのは簡単じゃないからねぇ。みなみがやめるったって、相手にはそんなこと関係ない。けど、みなみは一度決めたらそれを貫く
子なんだよ。あの子はもう二度と人様を殴ることはない。だから、敦子ちゃん、あなたがみなみを守ってあげて。そしていつか、敦子ちゃんも人様を殴るのをおやめなさい」
言われなくてもみなみは守る。というより、そんなことは考えるまでもない。空気を吸って生きていることを意識しないのと同じく、敦子にとってダチを守ることは自明すぎることだった。
敦子が返答しようとした瞬間、みなみが病室に戻ってきた。「ただいまぁ」
ばっちゃんは軽くウインクをして、今の話は内緒という合図を送ってきた。もちろん、それがなくてもするつもりはなかった。
「すぐに沸くからね……」
みなみは微笑んだ。
それから一週間後――みなみは死んだ。
いま思えば、みなみは敦子がばっちゃんと交わした視線に気づいていたのだろう。
――あたしに内緒なんて通じないよ。
あの微笑には、そんなみなみの気持ちが込められていたのかもしれない。
「そうだったの、みなみ?」敦子はかたわらのみなみに問いかけた。
「――どうだろうな」みなみはいたずらっ子のように目を細める。
敦子は駅前のロータリーまでやってきた。小さな街とはいえ、出勤する人や登校する人たちで、この時間の駅はいつものようににぎわっていた。
毎日繰り返し見ている光景に、敦子は不思議な気持ちになった。ここにいる、ほとんどすべての人たちは、マジジョの生徒や敦子がいま置かれている問題や立場を知りもしない。何百人かの人間がどうなろうと、ましてやそれが、たかだか学校同士のケンカであれば、社会ではなにも起きていないも同然なのだ。
けれども敦子にとってはちがう。
改札を抜け、階段を使って、島式ホームへ立った。混雑している階段近くから、ホームの端へと歩いていく。
上り線の列車に乗れば都会へ。
下り線の列車に乗れば馬路須加女学園へ。
――ねえ、みなみ。どっちに乗ればいい?
「敦子」すぐ横にいるみなみが言った。「あたしが決めることじゃない。敦子自身がどうしたいか、だろ?」
「――みなみ……」
行かないと決めていたはずなのに……。
サドの土下座でもエレナのビンタでも動じなかった。それなのに、いまになって迷い始めている自分に、敦子はとまどい、そして腹を立てた。
サドが他人に土下座をするのは、どれだけ屈辱的だったか。
大勢の生徒がいる場所で敦子をひっぱたいたエレナの度胸と覚悟はどれほどのものだったのか。
敦子はそれを結果的に無視し続けた。
それが、「マジに生きる」ということなのか?
下り列車がまもなく到着することを告げるアナウンスが聞こえた。
敦子は左手のシュシュを見つめた。
みなみの顔が浮かんだ。
続いて、だるまの鬱陶しい顔と「あつ姐」という声。
ヲタ、バンジー、ウナギ、アキチャ、ムクチ。
大歌舞伎、小歌舞伎。
学ラン。
みゃお、らぶたん、まなまな。チョウコク。
シブヤ。
ブラック。
ゲキカラ。
そして、サド――優子……。
マジジョで出会った、かけがえのないダチたち。
――ちがうっ。ダチなんかじゃねえっ。ダチなんかいらねえんだっ。
列車が線路の向こうで汽笛を短く鳴らした。
――みなみと約束したんだ……マジに生きるって。
「そうだよね、みなみ?」
顔を上げると、みなみはいなくなっていた。
「みなみ……?」
敦子はホームに、みなみの姿を求めた。
レールの継ぎ目でガタンゴトンと音を立てながら、三輌編成の列車がホームに進入してきた。列車を待つ何十もの人々が列車に乗車しようと、少しずつホームの端に向かって移動を始めた。
その中に、私立八木女子高校の制服を着た、一四八センチの少女はいなかった。
いるわけがない。
みなみは死んだのだ。
敦子が救えなかったから。
敦子が守れなかったから。
敦子がそばにいなかったから。
列車が完全に停止すると、圧縮空気によって開かれたいくつもの扉から人々が吐き出され、そして吸い込まれていく。
マジジョに向かうにしても、必ずしもこの列車に乗る必要はない。二十分もすれば次の列車が来る。ただ、それをしてはいけないような気がした。ずるずると結論を先延ばしにするだけで、なんの解決にもならない。
――私は……どうすればいい?
自分にそう問いかけた瞬間、さっきのみなみの言葉が繰り返された。
――あたしが決めることじゃない。敦子自身がどうしたいか、だろ?
そのとき、敦子に決断を急かすかのごとく、発車ベルが鳴った。
敦子は最後の瞬間、なにも考えなかった。
ただ、体が反応していた。
扉が閉まる寸前、敦子はその間をすり抜けるようにして、列車に飛び乗った。
列車が動き出すと、敦子は振り返って窓からホームを見た。
みなみがいた。
袖をまくった左手をブレザーのポケットに入れ、親指を立てた右手を敦子に向け、みなみは満面の笑みを浮かべていた。
敦子は何度も何度も頷き、みなみの姿が見えなくなるまで窓の外に目を向けていた。
やがて列車が駅から離れると、自分の決断を伝えなければならない人にメールを送るため、敦子は携帯電話を取り出した。
【つづく】
[ 2012/02/26 07:45 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第57話
■決戦前―1■
寒さで目が覚めた。
ヲタは寝袋のファスナーを開け、上半身を外に出した。ひんやりとした霧を意識すると、顔が冷たかった。
「寒みぃ……」
小さく声にしてみると、白い息が出た。
朝がこれほど寒かったのは、ここに来て以来はじめてだった。
両手を擦り合わせ、白い息を吐きかけた。ほんの少し温かくなった。
まぶたをこすって意識を覚醒させる。ついでに大きく伸びをした。
高台にある境内は霧に包まれていた。それはまるで舞台劇の特殊効果のようでもあり、寝ているあいだに別の場所に連れてこられてしまったと思えた。拝殿の通路より下は水面のように白い霧で覆われ、向こうにある御神木は根元が見えなかった。神など信じていないヲタだったが、寒煙迷離なその光景には人知を超えた存在があるような気さえした。現在が何時かはわからなかったが、その圧倒的な非日常感に包まれていると、ここが時間に囚われない空間のように思える。
ぶるっと震えがやってきて、ヲタはジャージのチャックを限界まで引き上げた。
だるまはまだ眠っていた。体を丸めて横向きに寝転がっているだるまは悪い夢でも見ているのか、ありえないくらい苦しそうな表情をしている。
まだ眠るべきかと思ったが、ヲタはこのまま起きることにした。脳も体もまだ疲れていたが、ふたたび寝袋に入っても、目が冴えてしまって眠れないにちがいない。
意を決して寝袋を出て、ヲタはだるまが持ってきたキャンプ用のガスバーナーコンロを手近に持ってきた。その上にステンレス鋼製の小さな鍋を置き、ペットボトルの水を入れる。
手が震えてなかなかうまくいかなかったが、尖った炎が吹き上がったときは感動した。
ヲタはしばらくのあいだ、小さな炎のゴーッという音と、どこからか聞こえる鳥の声だけに耳を傾けていた。まだ頭も冴えていなかったし、初めて体験するこの雰囲気に浸っていたかった。
やがて鍋のお湯が沸いたので、ヲタはバーナーの火を止めた。ぐつぐつと煮え立つお湯を、自分のバッグから取り出したマグカップに注いだ。トワイニングのティーパックを入れ、それを懐炉みたいに両手で持つ。立ち昇る湯気が顔も暖めてくれた。自分のほっぺたが、どれほど冷たくなっていたかがよくわかる。
――こんな目覚めも悪くねぇな。
長かった「修行」は今日で終わる。明日は学校は休みだが、ヲタは「元」チームホルモンのみんなと会おうと思っている。もし会えたら、まずはなにも言わずに消えてしまったことを詫びる。だるまにも同席してもらい、なにをしていたのかを告白する。許してもらおうとは考えてないが、自分の決意を知ってほしかった。そして、近いうちに申し込むつもりでいる、朝日とのタイマンを見届けてもらいたいと頭を下げるつもりだった。
――自分勝手なやつだよな……。
バンジーは自分と再会したとき、どんな表情になるだろう? アキチャ、ウナギ、ムクチは? もっとも怖いのは無反応だ。みんなを純情堕天使のメンバーにしたのは他ならぬヲタである。みんなの中でヲタは「過去の人」になっているかもしれない。
だるまが起きてきたのは霧もすっかり晴れたころだった。そのときヲタは拝殿の廊下から下り、一人でできる柔軟体操をしながらだるまの目覚めを待っていた。
ここ数日で見慣れたが、寝起きのだるまのしかめっ面は見られたものじゃなかった。だるまの彼氏が見たら(そんな奇特なやつがいるかどうかは別にして)、百年の恋も冷めるだろう。
「やっと起きたか」ヲタは腰をひねりながら、視線だけはだるまから離さなかった。
「なんや、珍しいな。オレより早いなんて……」だるまは寝袋ごと、もぞもぞと上半身を起こした。「なんか不吉なことでも起きるんちゃうか」
「んなことねぇよ。さあ、さっさと起きて朝飯、買いに行こうぜ」
「最後の日やからってそんな張り切らんでも……」だるまは苦笑した。
そう、今日は最後の日だ。
ヲタは緩慢な動作で寝袋を出るだるまを見て、突然寂しさを感じた。階段で足腰を鍛えるのは本当にきつかったし、組手は怖かった。夜は死ぬかと思うくらい寒いし、朝は早くから起こされるし、毎日コンビニの弁当はいいかげん飽きた。天井のあるところで落ち着いて食事をしたい。ふかふかの敷布団の上で温かい毛布にくるまって、だれにも起こされずに自然と目が覚めるまで眠りたい。こんなことはもう二度としたくない。
――でも……。
「――だるま……」意識しないまま、呼びかけた。
だるまは寝袋をたたんでいた手を止め、ヲタと目を合わせた。「なんや?」
「――だるま……ありがとな」
そう言ってしまってから、ヲタは恥ずかしくなって視線を外した。
どうして急にそんなことを言い出したのか自分でもわからない。しかし、いま言わなければずっと言いそびれると思った。
「ちょっ……おま……なに真剣な顔してそんなこと突然……アホか」
だるまの声が上ずった。
「おれとこんなことしたって、おまえにはなんの得もねえ。それなのに一週間も付き合ってくれた……」
「アホ言うな。おまえのためなんかやない。オレも強ぅなりたいんや。おまえのため、ちゃうぞ……」
消え入るような語尾で、だるまはヲタに背を向けた。
鼻水をすする音がした。
本当に今日で終わりなんだと、ヲタはそのとき実感した。
「おれ、向こうで体あっためてっから、準備できたら来いよ」この場にい辛くなったヲタはそう言い残し、拝殿のある境内のほうへ向かった。
まだ気温は低いが、空は快晴だった。玉垣に両手をついて背中や腰を伸ばすストレッチをしながら、ヲタは町と空をながめた。小高い山の上から見る町の景色とも、しばらくお別れだ。近所だからいつでも来られるが、だからこそここを訪れる機会は少なくなるだろう。特に、こんなに朝早く、この場所に立つことは二度とないにちがいない。
ふと、少し離れたところの玉垣に三羽の鳩が止っているのに、ヲタは気づいた。
鳩はいつも神社にいたし、他にも雀や鴉もやってくる。だから鳩がそこにいるのに不思議はない。
気味が悪いのは、三羽の鳩はまったく同じ方向を向き、作り物のように微動だにしていなかったことだ。まるでなにかに射すくめられたようだった。
そのとき、背後でバサッという大きな音がして、ヲタは驚いた。振り返ると、大きな鴉が羽をたたみながら玉垣の上に止ろうとしていた。ヲタはそれを目で追った。
続けて二羽、鴉が滑空してきた。それらも玉垣の上に止った。
空を見上げると、まだ鴉はいた。いや、鴉だけではなかった。鳩も雀もいる。全部で百羽ほどだろうか。
ぞっとした。
こんな光景は見たことがない。考えるよりも早く持ち前の防衛本能が働き、ヲタは玉垣から離れた。
それを待っていたかのように、鳥たちは少しずつ降下してきた。
気がつくと、ヲタは鳥居の柱に身を寄せていた。
「――なんなんだよ、これ……」
そこにだるまがやってきた。だるまは鳥が所狭しと止った玉垣を見て、なんやこれ、と大声を上げた。「ヲタ、いったい、なんの騒ぎや?」
「おれにわかるわけねぇだろ。突然、鳥がたくさん降りてきたんだよ」
「こんなん、見たことないな……」
いまや玉垣の上は、まさに足の踏み場もないほど、鳥、鳥、鳥で埋め尽くされていた。鴉、鳩、雀、名前を知らない鳥もいる。それだけでも気味が悪いのに、鳥たちは種類の別なく、とあるひとつの方角を向いていた。もともとなにを考えているかなどわからない無機質な瞳だが、それが揃うとこんなに怖いとは考えたことさえなかった。
「あいつら、なんなんや……?」だるまは玉垣に向かって歩き出した。
「おい、気持ち悪いからほっとけって……」
だるまはヲタを無視した。ヲタは少しだけ迷って、だるまのあとに続いた。
普段なら餌でも持っていない限り、人間が近寄れば離れるはずの鳥たちは、二人の動向にまったく反応しなかった。もはや容易に捕まえられるほどの位置まで近づいても、最初に見かけた鳩同様、とある一点を注視したままだ。
「さっきからこいつら同じほうを向いてるんだよ」ヲタは小声でだるまに教えた。
「ほんまやな……」だるまは腰を折って、一羽の鴉に顔を近づけた。「手羽先獲り放題やで。ま、カラスのなんてまずそうやけどな」
「危ねぇぞ。突かれたらどうすんだ」
だるまはまたもヲタの忠告を無視して、鴉だけではなく他の鳥の視線の先をなぞっている。それを見て、ヲタも恐る恐る鳥を見た。
突然、だるまがハッとしたように体を起こした。その動きにヲタは心底驚いて、わっと声を上げてしまった。
それでも鳥たちはまるで死んでしまったように、一羽たりとも動かなかった。反射的に羽を広げるものさえいない。
「こいつらの視線、追ってみい……」
「え……?」
ヲタは鳥たちが見下ろす方向に顔を向けた。
鳥がここまで夢中になってしまうなにかがあるのかと思ったが、さっきまで見ていた、いつもの町並みが広がっているだけだ。一戸建て住宅やマンションやアパート、商店街、町工場、公園、公民館、寺、消防署、警察署、病院、学校……。
学校?
ヲタはもう一度、鳥たちの視線を確認した。
こんな遠くからだから誤差はあるだろう。だが、おそらくまちがいない。鳥たちは、とある学校の方向を見つめている。
「――だるま……」
「ああ。なんやら、不吉な予感がするで」
突然、理屈ではない、直感的な不安がヲタを襲った。昨日唐突に感じた、なにかが起きているという予感は正しかったのかもしれない。
ヲタは走り出した。境内を全力疾走し、本殿の裏に回った。自分のバッグを見つけると、中に入っているものを次々と出した。
やがて電源が切られた携帯電話が底から出てきた。ヲタは震える手でそれを開き、電源ボタンを押した。起動するまでの数秒がもどかしく感じた。
プログラムが立ち上がると、すぐにメールの着信をセンターに問い合わせた。ダウンードされたメールは一五○件ほどあった。「受信中」という表示の下のバーがジリジリと伸びていく。イライラして、そんなことをしても意味がないのに、携帯電話の決定ボタンを何度も押した。
ようやくすべてのメールを受信し終わると、ヲタはバンジーから送られてきた三十通ほどのメールを新しい順に次から次へと開き、読んでいった。なにかが起きているとすれば、バンジーが伝えてくれているはずだった。
その予感は当たった。バンジーはヲタの身を案じつつ、マジジョで起きている事態を逐一報告してくれていた。ヲタは胸の奥から湧き上がってくる申し訳ない気持ちを押さえ、バンジーに対する感謝の気持ちをいだきながら、事態の推移を追った。読み進めていくうちに、現在のマジジョが置かれた状況がざっと把握できた。
アリジョが来る。
しかも、今日。
そんな大事なときにマジジョにいなかった己の不運を、ヲタは呪わずにいられなかった。
「だるまっ」ヲタは叫んだ。
「なんや、大声ださんでも近くにおるで。それに……」だるまは携帯電話をヲタに示した。「――オレにもバンジーからメール来とった。特訓はここで終わりや。いますぐ荷物まとめて山を下りるで」
「だな」
ヲタは先ほど出した荷物を、でたらめな順番でバッグの中に放り込んでいった。最後に残った寝袋は、あわてて丸めたため空気があいだに入ってきれいにたためていなかったが、無理矢理バッグに詰めた。一刻も早くマジジョに戻りたかった。
だるまもヲタとほぼ同じタイミングで荷物をまとめ終わったようだった。バッグを肩で背負うようにかつぎ、そそくさと歩き出す。「ほなら、行くで」
「あ、ああ……」ヲタは早足でだるまを追った。拝殿の前まで歩いたところで、ヲタはだるまを呼び止めた。「ちょっと待った」
すでに鳥居をくぐろうかというだるまは、ヲタの声につんのめって立ち止まった。「なんやねん。早よ、いかんと……」
「お参りしてこうぜ」ヲタは立てた親指で拝殿を示した。
「アホか。ンな時間ないで……」
「アリジョが来ることはもうわかってるんだ。対策はしてあるだろう。おれら二人が焦って行ったってたいして役になんてたたねえよ。だったら、気持ちを落ち着けて、ついでに腹ごしらえしてから行ったほうがいい」
だるまはなにか言いたげにしかめっ面で考えたようだが、少しして頷いた。「――まあ、それもそうかも、やな」
ヲタは短い階段を昇りながら、初日にお参りしたとき、だるまに取られた五百円硬貨とヲタ自身の五百円硬貨を賽銭箱に入れたことを思い出した。バッグの中から財布を取り出して開いた。数枚の紙幣と硬貨が入っている。全部で五千円ちょっとだった。ヲタはちょっと考えてから、朝飯を食べるための五百円硬貨を一枚残し、残りの札と硬貨をすべて賽銭箱の中に入れた。硬貨は派手な音を立てながら、札はひらひらと舞うように格子の向こうへ消えていった。
「おまえ……思い切ったことやりよるな」だるまは目を見開いた。
「宿泊代さ」
二礼二拍し、手のひらを合わせ、まぶたを閉じる。
いよいよ自分の力を試せるのだ。機会は唐突にやってきたが、覚悟を決めなければいけない。
ダチたちの顔が浮かんできた。
バンジー。
アキチャ。
ウナギ。
ムクチ。
そしてプリクラ。
一礼して、ヲタは顔を上げた。
そこには数日前とは確実にちがう、真摯な女がいた。
【つづく】
[ 2012/01/17 23:56 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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2011年『ぼくの好きな映画ランキング』
あくまで「ぼくの好きな」ランキングですので、そこんとこよろしくです。
1・サウダーヂ
2・X-MEN:ファースト・ジェネレーション
3・アジョシ
4・ブルーバレンタイン
5・イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ
6・悪魔を見た
7・歓待
8・スーパー!
9・ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
10・仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX
11・劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ
12・電人ザボーガー
13・ソーシャル・ネットワーク
14・ブラック・スワン
15・監督失格
16・猿の惑星:創世記(ジェネシス)
17・トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
18・アンストッパブル
19・カンフーパンダ2
20・コンテイジョン
21・冷たい熱帯魚
22・GANTZ
23・イリュージョニスト
24・Peace
25・エンジェル・ウォーズ
26・グリーンホーネット
27・スプライス
28・宇宙人ポール
29・マイ・バック・ページ
30・くまのプーさん
31・リアル・スティール
32・ハンナ
33・トゥルー・グリット
34・マネーボール
35・タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
36・英国王のスピーチ
37・白夜行
38・キャプテン・アメリカ
39・GANTZ PERFECT ANSWER
40・モールス
41・スカイライン
42・ピラニア3D
43・ヒアアフター
44・未来を生きる君たちへ
45・スーパー8
46・ドリーム・ホーム
47・ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える
48・マイティ・ソー
49・世界侵略:ロサンゼルス決戦
50・アンダルシア 女神の報復
51・インシディアス
52・モテキ
53・恋の罪
54・ミッション:8ミニッツ
55・カウボーイ&エイリアン
56・ワイルドスピード MEGA MAX
57・スマグラー おまえの未来を運べ
58・RED
59・カーズ2
60・あしたのジョー
61・スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
62・ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
63・トロン:レガシー
64・コクリコ坂から
65・モンスターズ
66・ワイルド7
67・漫才ギャング
68・ドラえもん のび太と鉄人兵団
69・手塚治虫のブッダ -赤い砂漠よ!美しく-
70・アジャストメント
71・DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?
72・さや侍
73・映画 スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪
74・けいおん!
75・ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
76・ツーリスト
77・もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
78・怪物くん
79・ステキな金縛り
80・セカンドバージン
81・ワラライフ!!
[ 2012/01/16 05:37 ]
映画
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第56話
■胎動―9■
サドはまんじりとした夜を送っていた。
タイマン部屋のベッドに寝転がり、天井を見つめる。もう二十四時間近く起きている。明日のために眠らなければと思うのに、睡魔はまったくやってこない。ブラックが入れてくれたココアの覚醒作用だけが原因ではないだろう。トリゴヤを抱けば少しは疲労して眠りやすくなるかもしれないが、そんな気分にはなれなかった。
前田敦子と拳を交わしたあの闘いが高校生活最後の『マジ』だった――そのはずなのに、まだ自分の存在を賭けて闘うことになったのだ。
うれしかった。
優子がそばにいないのだけが残念だが、ヤンキー魂を持つ一人の女として、サドはそのこと自体は歓迎すべきことだと考えている。最後の最後に、しかも全校生徒とともに本気で暴れることができるのだ。
だが、眠れないのはそうした興奮だけが原因ではなかった。
先ほど、峯岸みなみの案内で校内をまわったときから、サドは強い疑念にとらわれていた。想像以上に高いバリケードの完成度、臨時の「野戦病院」となった体育館に積まれた医療用品の箱の山、教室や廊下やトイレなどで自主的に格闘戦の訓練をするたくさんの生徒たち――本来、それらは不安をかき消してくれる風景のはずだった。しかし、サドの思いはちがった。
なにかをしくじっている気がする。それも、この作戦の根幹を揺るがすような大きなミスを、だ。その正体がなんなのか、サドにはわからない。だからサドはいらだち、不安を膨らませ、恐怖を感じていた。考えても意味のないことはわかっている。不安の正体がわからないかぎり、対処のしようがない。矛盾するが、ここに優子がいてくれれば、と思う。優子ならそのミスをたちどころに指摘してくれるはずだ。
だが、優子はいない。優子は知らない。
サドは考えるのをやめた。
大きく息を吐き、そして無駄かもしれないと思いつつ、まぶたを閉じた。
ヲタは寝袋の中で体を丸め、横向きに寝転がった。
この修行も明日で終わり――かたわらにいる鬼塚だるまの寝息を聞きながら、ヲタはこの数日間のことを思い出していた。
何度もくじけそうになった。最初は階段のキツさに、そのあとはだまるの打撃の痛さに、そして最後はみずから攻撃を加えるという恐怖に……。
しかし、自分はまだ、ここにいる。
逃げ出さなかった。
勇気の萌芽は確実に芽生えている。それはこの数日間でだるまと育んだ、もっとも大きな成果のひとつだった。
「オレの好きなマンガに、こんな言葉があるんや」だるまが寝る前に言っていたことを、ヲタは思い出した。「ゆるくねぇ時に泣く奴は3流。歯食いしばる奴は2流だ。笑え……果てしなく。そいつが一番だ――ってな。ええ言葉やろ?」
たしかに、いい言葉だと思った。「ああ。おもしれぇな、その発想」
「ヲタ……。おまえは散々泣いてきた。歯も食いしばった。せやから、朝日と会ったら、どうすればいいか――わかるやろ?」
「ああ。もちろんさ」
今ならできそうな気がする。
何週間か前の自分には考えもつかなかったことだ。ダチと離れ、たったふたりで何日間も過ごし、そのあいだ延々とケンカのことばかり考え、実践する。だれかがそれをすると言ったら止めただろう。そんなことできるわけがない。やめとけ、と。
それでも自分はなんとかやり遂げようとしている。いまの実力で朝日と再戦しても勝てるかどうかはわからない。だるまのヒントを元に編み出した必殺の一撃が通用するのか。しなかったらどうするのか。やってみなければわからない。けれども、ひとつだけたしかなことがある。
もう逃げない。
朝日の前に立てば、拳も脚も震えるだろう。あのときの痛打を思い出し、恐怖心がよみがえるだろう。
でも……それでも自分は逃げ出さない。
ヲタは確信を持って言える。
朝日に笑顔を見せるのだ――と。
【つづく】
[ 2012/01/03 10:50 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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2011年に見た映画リスト
自分メモ用に。見た順です。個人的ベストは来週までに考えます。
1 トロン:レガシー
2 アンストッパブル
3 スプライス
4 ソーシャル・ネットワーク
5 ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
6 グリーンホーネット
7 DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?
8 白夜行
9 GANTZ
10 RED
11 ワラライフ!!
12 冷たい熱帯魚
13 あしたのジョー
14 悪魔を見た
15 ヒアアフター
16 英国王のスピーチ
17 ツーリスト
18 トゥルー・グリット
19 漫才ギャング
20 劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ
21 イリュージョニスト
22 エンジェル・ウォーズ
23 ドラえもん のび太と鉄人兵団
24 スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
25 ブルーバレンタイン
26 ブラック・スワン
27 GANTZ PERFECT ANSWER
28 マイ・バック・ページ
29 歓待
30 ドリーム・ホーム
31 X-MEN:ファースト・ジェネレーション
32 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
33 手塚治虫のブッダ -赤い砂漠よ!美しく-
34 アジャストメント
35 さや侍
36 スカイライン
37 スーパー8
38 ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える
39 マイティ・ソー
40 アンダルシア 女神の報復
41 モンスターズ
42 ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2
43 トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
44 イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ
45 モールス
46 Peace
47 コクリコ坂から
48 スーパー!
49 カンフーパンダ2
50 カーズ2
51 インシディアス
52 未来を生きる君たちへ
53 ピラニア3D
54 ハンナ
55 世界侵略:ロサンゼルス決戦
56 くまのプーさん
57 宇宙人ポール
58 アジョシ
59 セカンドバージン
60 モテキ
61 監督失格
62 猿の惑星:創世記(ジェネシス)
63 ワイルドスピード MEGA MAX
64 キャプテン・アメリカ
65 スマグラー おまえの未来を運べ
66 電人ザボーガー
67 コンテイジョン
68 ミッション:8ミニッツ
69 サウダーヂ
70 カウボーイ&エイリアン
71 ステキな金縛り
72 マネーボール
73 映画 スイートプリキュア♪ とりもどせ!心がつなぐ奇跡のメロディ♪
74 恋の罪
75 怪物くん
76 タンタンの冒険
77 リアル・スティール
78 仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX
79 けいおん!
80 ワイルド7
81 ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
[ 2011/12/31 11:52 ]
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第55話
■胎動―8■
バンジーが七輪に乗せられた最後のホルモン一切れに箸を伸ばすと、その横から別の箸が現れ、あっという間もなく獲物をさらった。
ムクチはそれを口の中に放り込むと、バンジーに笑顔を向け、わざとらしく口をもぐもぐと動かした。
「うめえか?」
バンジーの皮肉に、ムクチは笑顔で頷いた。バンジーは苦笑した。
すでに日は完全に落ちていた。窓には、蛍光灯の冷たい光に照らされた教室の中の風景が鏡のように写っている。こんな時間まで学園にいるのは文化祭以来だった。
二年C組の教室ではたくさんの生徒たちが夜食を摂っていた。生徒たちは仲のいいダチたちと、生徒会から配給されたおにぎりや弁当を口にしながらつかの間の休憩時間を満喫していた。慣れないことの連続で疲れているはずなのに、みんなの気分が高揚しているのが伝わってくる。もちろんバンジーも。
元チームホルモンの四人はいつものように七輪でホルモンを焼き、それをおにぎりのおかずにしていた。教室に充満するその匂いは成長期の少女たちの食欲を刺激したらしく、こんなときにだけ寄ってくる「クラスメイト」が列を作った。そんなにたくさんあるわけでもなく、アキチャとムクチは反対したが、バンジーは少しずつみんなとホルモンを分け合った。いつもはギスギスしたクラスだが、ホルモンひとつでまとまれるのなら、たまにはこんなことをするのもいい。
昼間はさんざん働かされ、バンジーはクタクタになっている。一年生はもっとも体力を使うバリケード造りをさせられていたが、二年生は買いだしに行かされた。バリケード製作に必要な結束バンドやロープや工具などの資材、それが終わるとたくさんの医療品、その次は二五○人分の食料と飲料水……。郊外にある学園から、駅前の商店街まで片道十分はかかるから、往復するだけで二十分。資材が揃っているホームセンターまでだとその倍の時間だ。それを何度往復させられたか、もう覚えてはいなかった。たしかなのは、ふくらはぎが張って、もうしばらく歩きたくないことだけ。これならバリケード造りのほうが楽だったにちがいない。
しかも生徒会の命令により、全生徒は帰宅を許されず、それぞれの教室で一夜を過ごすことになっていた。アリジョがいつ来るのかわからないことと、怖気づいた生徒が登校してこないのを防ぐ意味があるのだろう。夕方にはレンタル業者が何台ものトラックで校庭に乗りつけ、貸し布団を下ろしていった。いま、二年C組の教室には二十組の布団が隅に積まれている。仕方ない処置とはいえ、寝る前に、せめてシャワーくらいは浴びたい、とバンジーは思っている。
満たされたとはいえない食欲だが、今夜限りは文句を持っていくところもない。バンジーは毒づくのをあきらめ、深くため息をついた。
――こんなときあいつらがいれば、ふざけて八つ当たりして、気をまぎらわせるんだけどな……。
バンジーはこの場にヲタとだるまがいないことが残念で仕方なかった。祭りが始まるのにいないどころか、そもそも祭りがあるとさえ知らないだろう。
「――なあ、バンジー」アキチャが言った。「もうそろそろ、明日になっちまうな」
「だな」バンジーにはその言葉の意味がすぐにわかった。だが、はっきりとした言葉にはしたくなかった。
「明日は今日とはちがうかな?」
「さあな。でも、ちがうと思うぜ」
「どうして?」
「いつだって、明日は今日とちがうって思ってるんだ」
「そんなもんかな……」
「ああ。そんなもんだ」
ムクチが激しく頷き、アキチャとウナギもそれに続いた。
みんなの気持ちもひとつ――バンジーはうれしかった。
自分の言葉にウソはないが、今回ほど、それを信じたいという気持ちが強かったことはなかった。
「星を見に行こう」
珠理奈にそう誘われ屋上に来てみたものの、そこは想像以上に寒かった。ネズミはフードをかぶり、限界までファスナーを上げた。こんな寒いところに好き好んで――、しかもタイツも履かずに来るなんて、ネズミには信じられなかった。
ニーソックスだけではさぞ寒いだろうと思ったが、珠理奈はベージュのカーディガンをひるがえして楽しそうにくるくると回転している。「ねえ、見てっ。すっごくきれいっ」
仕方なしに見上げると、たしかにそこは満天の星空で、じっとしていると吸い込まれそうな感覚に襲われる。ネズミは少しよろけて、数歩後退した。
「こっち行こっ」珠理奈に手をにぎられた。
――あったかい……。
すでに何十回もキスをした仲なのに、ネズミは頬が熱くなるのを感じた。もともと、ちょっとだけなら強引になにかされるのは嫌いじゃない。
珠理奈にひっぱられた先は、屋上に突出している塔屋の脇だった。そこにはだれかが置いたアルミニウム製の梯子が立てかけられていた。
「ここ、たまに来るんだ。だれにも邪魔されずに本を読めるから。いつも図書室ばっかりだと飽きちゃうしね」
珠理奈はさっさと梯子を上っていった。一陣の風がスカートを下から膨らませ、太ももが露わになった。
――やれやれ……。
風でも吹いて梯子が倒れたらどうするんだろうと思いながら、ネズミは仕方なく珠理奈に続いた。
珠理奈は塔屋の上で直立し、首をほぼ九十度に曲げて夜空を見上げていた。「いつか、ここから星を見たいと思ってた。でも夜、忍び込んでまでするほどじゃないからしなかったけどね」
「なんでだい?」ネズミはパーカーのポケットに手を突っ込んだ。
「この町で、ここが一番高い場所だから」
「山に行けばいい」
「行ったよ。でも、木が邪魔して見渡せなかった。三六○度なんにもない場所はここくらいなんだ」
たしかに、ここには遮蔽物がなかった。それだけに少し怖かった。町のあちこちには明かりが灯っているが、空を照らすほど強くも多くもなかった。反対方向には長い山の稜線が夜空に溶けていて、星星がその輪郭を描いていた。
さびしい町だ――とネズミは思う。子供のころ、国道沿いにショッピングセンターが建ち、都会からいろんな企業がやってきて、町はあっという間に寂れていった。カネはすべて都会へ流れていく。地元の商店街の店はほとんどシャッターを下ろしている。
――希望なんてどこにもない。
だから自分がこの小さな学校のルールやしきたりや伝統をぶっ壊してなにが悪い? 大人たちがやってきたこと――子供は大人の真似をするものだ。
視線を空に移した。遥か彼方にある星の光はここでなにが起きようと、何百年、何千年という時間をかけて地球に届く。なんとなく、それはすごく残酷なことに思え――
脚がぐらついた。
よろけたネズミは二三歩後退した。
「あぶないっ」
とっさに珠理奈がネズミの腕をつかんだ。
振り返ると、屋上のフェンスの向こう側に校庭の地面が見えた。落ちたらただではすまない高さだ。
ゾッとした。タイツに包まれた脚の中を風が通り抜けるような感覚があり、力が抜けた。
腕を引っ張られ、ネズミは自然と珠理奈の胸に飛び込むようなかたちになった。珠理奈は両手でネズミを優しく包み込んだ。
「まゆゆ、知ってるかい?」珠理奈はネズミを抱いたままささやいた。「空にはたくさんの星が輝いてるけど、肉眼で見えるのはたった三○○○個くらいなんだって」
興味がなかった。「ふぅん……」
「宇宙には本当に数え切れないくらいの星があるのに、なんで夜空は星の明かりで満たされないんだろうね。数千、数万、数億、数兆、数京の星から光が届けば、暗い夜なんか来ないのに」
「夜は嫌い?」
「一人のときはね」そこで、珠理奈はネズミを見つめた。「でも、いまは嫌いじゃない」
「どうして?」
つぶやいたネズミの唇に、珠理奈が唇が重ねられた。それが答えだった。
珠理奈と舌を絡めると、いつものように体の芯が熱くなり、じわっと蜜が伝うのがわかった。珠理奈の舌と口の中は温かかった。でも、ときおり触れる鼻柱が冷たかった。
甘美な肉体的快感を味わいながら、ネズミは意識のどこかに冷静な部分を残している。こいつは単なる消耗品だ。いざというときは自分のために闘い、そして痛い目にあってもらう女。
珠理奈を解放する、明日が楽しみだ。私を脅したアリジョの連中を、珠理奈にシメさせよう。ネズミ様を舐めたやつには、それ相応の痛みを与えなければいけない。
顔を離したのは珠理奈からだった。キスのあとで目が合うと、まだ照れくさい。ネズミは恥ずかしさを隠すために笑顔を作った。
「まゆゆ」
「なに?」
「明日はどうなるかな?」
「わからない」
「ぼくは勝てるかな?」
「それなら大丈夫。珠理奈なら勝てるよ」
「うれしい」
「――ひとつ約束して」
「なんだい?」
「わたしのそばを離れないで」
「約束なんてしなくたって、もちろんそのつもりだよ。まゆゆはぼくが守る」
「ありがとう」
ネズミを抱きしめる珠理奈の腕に、ぎゅっと力がこもった。
【つづく】
[ 2011/12/24 06:07 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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紹介していただきました。
eiji amakiさんのmessy系ブログ『汚れし乙女は美しい』で、ぼくの作った動画作品を紹介していただきました。
以下、アダルト画像があります!!!
『汚れし乙女は美しい』→
http://yogorshiotome.dtiblog.com/
『濡れ娘。』関連記事 →
「桜塚綾 着たままプールは、はじめてなんです。」
「夏のいつもの、あの川で。」
どちらも古い作品ですが、それだけにこうして記事を書いてくださるのはとってもうれしいです。
eiji amakiさん、ありがとうございます!!!
eiji amakiさんもツイッターをやられています。 →
http://twitter.com/#!/eijiamaki
[ 2011/12/07 06:11 ]
wet
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第54話
■胎動―7■
山の稜線の向こうに太陽が沈みかかり、馬路須加女学園が茜色に染まるころ――いつもであれば、生徒はほとんど校舎に残っていない時間帯だったが、この日はちがっていた。
一階の生徒通用口では約五十名の一年生たちがバリケードの構築作業を続けていた。指揮を執るアンダーガールズのジャンボとアニメは初めての役割に緊張しつつ、少しずつ完成に近づくバリケードに愛着さえ感じ始めていた。
すでにほとんどの教室から机の搬出は終わっていて、廊下には積み上げられるのを待つ机がずらりと並んでいる。そのひとつひとつにはシールが貼られ、元はどこの教室のどの位置にあったかがわかるようになっていた。
机を積み上げる者、結束バンドで脚を止める者、ロープで補強する者などの役割を特に決めたわけではなかったが、いまや五十名ほどの生徒たちは分業し、最初のころとは比べものにならないくらい効率的に作業をおこなっている。
設計ミスや役割分担やケンカでたびたび中断した作業だったが、バリケードが徐々に「かたち」になってくるとともに、それらのいざこざは少なくなっていた。いつもは敵対している組織やクラス同士だから和気藹々というわけにはいかないが、集められた五十人は少なくともただひとつの同じ目標――すなわちアリジョから学校を守るためバリケードを完成させる――においては団結力を示そうとしていた。
ジャンボとアニメはホッとした。完成予定の十九時までには間に合わないだろうが、徹夜で作業をするまでの事態にはならなさそうだった。
天井近くまで積み上げられた机の山を見上げ、ジャンボは誇らしげな笑みを浮かべた。
シャッター音が出ないように改造してある携帯電話だけを壁の向こう側に出し、ネズミは写真を撮った。
確認すると、そこには五十人ほどの生徒たちが生徒用通用口前にバリケードを製作している様子が写っていた。トリミングが気に入らなかったが、概要がわかればいいだろう。ネズミはそれを、先ほど撮った教員用通用口前のバリケード写真とともに、「田中やすえ」――フォンチー――宛のメールに添付した。名前を変えて登録しているのは、携帯が人の手に渡ってしまったときに証拠をつかまれないための策だった。
メールを送信すると、ネズミはだれにも会わないように物陰に隠れながら、非常階段への出入口へと向かった。
この学園校舎への侵入ルートは四つ。生徒用通用口、教員用通用口、体育館への渡り廊下、そして非常階段出入口だ。
ネズミはバリケードが二箇所にしか作られていないことが気になった。そこを封じたところで別の入り口から侵入されるに決まっている。それならわざわざ労力をかけてバリケードなど作っても意味がない。作るならすべての出入り口を封鎖するべきだ。
しかし、そうしていないということは、そこになにかの理由があるからだ。
末端の生徒たちに作戦の概要はほとんど知らされていなかったが、ネズミには見当がついていた。
狭い出入口に戦力を集中しての各個撃破……。
体育館へ続く渡り廊下出入口の扉は大きいから、本来はここにもバリケードを作るべきだろう。しかし、ここは臨時の救護室になる体育館へけが人を搬入するため、アリジョの生徒全員を校舎内に引き込んだあと、しばらくしてから開放される予定になっている。それまでは内側から鍵をかけて侵入を防ぐしかない。
となると、アリジョを誘導するのは非常口出入口のドアということだ。ここなら狭くて一人ずつしか通れない。ネズミが参謀なら、サドにそう進言する。
いまは人気(ひとけ)がないその扉のノブに触れると、違和感があった。ノブが回らないのだ。よく見ると、カギが壊されていた。生徒会の指示かラッパッパの指示か……。だがネズミにとってそんなことはどうでもよかった。
あたりに人がいないことを確認して、ネズミはドアノブと扉の写真をそれぞれ撮影した。さっきのように写真をメールに添付し、本文にはラッパッパは非常口出入口で待ち伏せする作戦らしい、と打った。
送信完了の表示を見て、ネズミは携帯電話を折りたたんだ。
――バカどもが焦る有様……近くで見たいけど、それは無理だろうな。
ネズミは作戦が始まる前に、珠理奈と図書室に篭ることになっている。バカどものケンカに巻き込まれて痛い目に合うのはごめんだった。マジジョ崩壊と前田敦子が斃される瞬間を見られないのは残念だが、自分の身を危険にさらすわけにはいかない。
――まあ、いい。結果さえ出てくれれば。
ネズミは非常口出入口のドアから離れ、廊下を歩き出した。
佐藤すみれは焦っていた。
体育館にはまだ、保健室から運び込まれた三つのベッドしか並べられていなかった。だだ広い体育館の中央に、ぽつんと置かれたベッドはむしろないほうがマシに思えるくらい無意味に思えた。
生徒会室での事務作業を終え、すみれがここにやってきたのは一時間ほど前のこと。約二十人の二年生たちを使って最初にやらせたのは、保健室の機能を体育館にすべて移すことだった。
だが、すみれが保健室にキケンを訊ねると、彼は抵抗した。「きみね、ここにどれだけの道具があると思ってるの? それらはすべて清潔に保っておかなければいけないんだよ。素人に触らせたくないの」
「生徒会の物資調達許可が出ています。校長の承認も……」すみれはA4サイズの紙片をキケンの目の前に掲げた。
椅子に座ったままのキケンはそれにざっと目を通したものの、「あんな不潔な場所に持っていくなんて許可できないね。医者として、断固拒否する」
「こんな狭い場所では負傷者の救護ができません」あまりに抵抗するようであればラッパッパに連絡してキケンを拘束することもできるが、説得できればそれに越したことはない。すみれは切り札を使うことにした。「どれだけの数の生徒が負傷すると思ってるんですか。十数人じゃすみませんよ」
「つまり……?」キケンの喉仏が汚らわしく上下に動いた。すみれの言葉の裏を理解したようだ。
「好きなだけ、若い女の新鮮な傷の手当ができるってことです」キケンがサディストの変態性欲者であることを知っている生徒は数多かった。「先生がお気に入りの前田敦子も運ばれてくるかも……」
教員ではないキケンは、今朝の朝礼には出ていなかったから、前田敦子がいまこの学園にいないことをしらないはずだった。ウソをつくのは嫌いだが、事態は急を要している。
「――まあ、たしかに……生徒たちの怪我や病気に対処するのがボクの仕事だからねえ……」キケンは大きな眼をより大きく見開いて、唇をいやらしく歪めた。
もう一押しだった。飴はもう使った。今度は鞭の番だ。
生徒会はキケンが学校の外で「援助交際」ならぬ「援助治療」をしている証拠をつかんでいる。あまりに拒否をするなら、そのことを告げなければならない。しかし、それは最後の最後までとっておきたかった。
「どうしても許可をいただけないのであれば――」すみれはキケンに近づくと、キケンが制止する間もないすばやさで、背後のデスクの二番目の引き出しを開けた。「いますぐこの場に校長を呼んで、これがなんなのか弁明してもらうことになりますが……」
生徒会はキケンが保健室にビデオカメラを仕掛けていることもつかんでいた。そのリモコンがそこにあることも。
キケンの顔から、先ほどの性倒錯者の笑みが消えた。
今でもあのときのキケンの顔を思い出すと笑える。
だが、笑っている場合ではなかった。もう夕闇が窓の外に迫っている。
三つのベッドの横にはテーブルが置かれ、その上には傷の手当をするための医療品が乗せられていた。これらは元々保健室にあったものではなく、チームフォンデュのメンバーがドラッグストアで買ってきたものだ。
いま、そのチームフォンデュのメンバー五人は、体温計、ハサミ、ピンセット、ばんそうこう、幅のちがう包帯が数種類、三角巾、綿棒、ガーゼ、脱脂綿、油紙、消毒用アルコール、オキシドール、湿布薬、軟膏、ヨードチンキを二十あまりの救急箱に仕分けしながらしまっていた。
「おい、レモンッ」どっちがレモンに救急箱をつきつけた。「おめえ、ちゃんと見たのかよ。こん中、ガーゼばっかり入ってるぞ」
「ホントだー」寒ブリがそれを見て、能天気な声を上げた。
「そ、そんなことねえだろ……」レモンは目をパチクリさせながら、どっちから救急箱を受け取った。「あ。ほんとだ」
「てめえ、マジでやらねえとうちらまでサドさんにぶっ殺されるぞ」ツリが眉をしかめた。
「連帯責任ってやつだ」年増が付け加えた。
「わ、わかってらい。ンなこと」レモンは大げさに頭を左右に振った。「ちゃんとやりゃあいいんだろ。ちゃんと……」
そんなやりとりをする五人を見て、すみれは小さくため息をついた。
体育館には他にも十人ほどの生徒たちがいて、何度も入れ違いながら保健室の設備を体育館に運搬していた。何気なく入口の大扉に目をやると、ちょうど山椒姉妹の三人がなにやら細長い柱の付いた器具を運び込んでいる。すみれは、その器具がなにかわかると足早に三人に近づいた。
その器具の柱の片側には三十センチ角ほどの台座が、もう片方には遊標が付いている。両端を持っているのはらぶたんとまなまなで、リーダーのみゃおは左腕で腋に抱え込むようにして、四角くて薄い機械を持っている。「オーライ、オーライ」などと言いながら先頭を歩いているのは、どうやら誘導しているつもりらしい。
「ちょっと待って――」すみれはそう制止すると、みゃおに訊ねた。「これはなに?」
「ああ。身長を測るやつッス」みゃおは、そんなこともわからないのかとバカにするような視線をすみれに向けた。
「なんで持ってきたの?」
「保健室の物を全部持ってこいって、さっき言ったッスよね?」
「ちょっとは頭を使いなさい。ケガの治療をするってのに、なんで身長計が必要なの?」
「うちらは言われた通りにやってるだけッスから……なあ?」
みゃおの言葉に、らぶたんとまなまなが頷いた。
「それが頭を使ってないって言ってんの。そんなものいらないから元に戻してきて。あ。あなたが持っているのはなに?」すみれはみゃおに訊ねた。
「体重計」
どちらかといえば太目の体型のみゃおがそれを持っているのがおかしくて、すみれは笑ってしまいそうになったが堪えた。
「それもいらない。戻してきて」
「――ンだよ、せっかく持ってきたのによぉ……」
「力が有り余っているのなら、間仕切りでも持ってきて」
「はいはい……」
みゃおは背中を向けたまま、すみれに手を振って答えた。
すみれは今度は深いため息をついた。
【つづく】
[ 2011/11/30 22:19 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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TB(0)
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CM(5)
『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第53話
■胎動―6■
午前十時五十分、馬路須加女学園生徒会は正式に緊急事態宣言を発令した。
これにより馬路須加女学園の校則は宣言が解除されるまで一時凍結され、全権は生徒会と吹奏楽部に委ねられた。緊急事態宣言が解除されるまで、この措置は続くものとされた。
ジャンボは、もっとも要となる校舎中央の生徒用玄関で、サドの命令によりアニメとともにバリケード制作の指揮にあたった。ライスと昭和は南の職員専用玄関を担当している。
ジャンボの指揮下に入った一年生一〇五人中六十人は、アンダーガールズによる計測と図面に基づき、バリケードの設置に取りかかった。
しかし、完全に組織化されていないばかりか、普段はいがみあい、ケンカばかりしている連中が緊急事態だからといってすぐに一致団結できるわけもなく、作業はなにかといえば中断し、ジャンボたちはいらだった。
校舎の一階にある一年生の教室から机と椅子を運ぶだけでも相当な手間であるのに、それらを積み上げて結束バンドで固定するのは大変な作業だった。二人がかりで運んできた机を四人で持ち上げるというのが基本だったが、時間の経過とともに疲労が出てくるため予定よりもはかどらない。
問題はさらに起きた。バリケードを組み上げる際にできたわずかなズレが次第に大きくなったり、図面に計測まちがいがあったりして、一度組んだものをもう一度バラすことも一度や二度ではなかった。
やがて生徒たちのあいだに焦燥が生まれた。当初はラッパッパの監視下ということもあり、我慢をしつつアンダーガールズたちの命令に従っていた生徒たちも、遅々として進まない作業にあからさまな苛立ちを見せた。このままではいずれ暴動にすらなりかねない雰囲気だった。
「――こんなんで明日の朝までにできるのかな……」一時間が過ぎても基礎になる一段目の設置すら満足にできていない状況に、ジャンボは廊下の壁によりかかって深いため息をついた。
「まあ……なんとかなるよ」そばにいたアニメがサングラスの奥で、にっこりと笑った。
「間に合わなかったら、大変なことになるよね」
「うん……でも大丈夫だよ」
「そっかなぁ……」
「そうだよ」
アニメはいつでも優しい……と、ジャンボが思った瞬間――
机でも落ちたのか、なにかが床に叩きつけられたように派手な音が廊下に響いた。そちらに目をやると同時に一年生同士の怒号がして、あっという間にケンカが始まった。
「――ったく、もう……」
ジャンボは駆け出し、とっくみあいをしている二人のあいだに割って入った。アニメもすぐに追いつき、二人を剥がす。
「てめえら、そんなことしてる場合かっ」ジャンボは怒鳴った。「もし間に合わなかったら、一年全員半殺しだぞっ。わかってんのか?」
ジャンボはケンカを始めた二人を見た。一人はジャンボも顔を知っている金眉会のメンバーだったが、もう一人の少女には見覚えがなかった。
「あっ……クソッ……痛てぇじゃねえか、このヤロウ……」金眉会のメンバーが左上腕部を押さえながら呻いた。指の間から血が流れていた。
振り返ると、背が低く、顎が尖ったその少女の右手には刃渡り十センチほどの小さな折りたたみナイフが握られていた。
ジャンボは速攻で少女の右手首をねじった。そして身長差を利用し、思いっきり少女を引っ張り上げた。
「きゃはっ」少女は痛みを楽しんでいるかのように笑った。
原因がなにかはわからないが、この少女はケンカが起きたと同時にナイフで相手を攻撃したのだ――なんの躊躇もなく。
少女の瞳の奥にゲキカラと同じ輝きを見て、ジャンボは戦慄した。
――狂ってる……?
「――てめえ、こんなとこでヤッパ出しやがって……」
ジャンボは軽い恐怖を感じていたが、冷静であろうとした。この場を仕切っているのがだれなのか、この狂った女に教えてやらなければいけない。
「だれか、保健室に――」アニメがこの騒動を取り囲んでいる連中に言った。
「いい子だから、こいつを放しな」ジャンボは少女の右手首をさらに強くねじった。
「冗談でした」少女はナイフを人差し指と親指でつまんで、ぶら下げた。
ジャンボは、いつ少女が獰猛さを露わにするかという恐怖に怯えながらも、ナイフを奪った。
少女から手を離し、ナイフを折りたたんでスカートのポケットにしまう。「こいつは預かっておく。いいな?」
「いいのん」少女はジャンボを小馬鹿にするように、尖った顎を突き出した。そしてセーラー服の胸ポケットから、また折りたたみナイフを取り出した。「まだあるから」
「てめえ……」
「てめえじゃないのん。カノンだのん」
そう言ったかと思うと、カノンは脱兎のごとく走り、廊下の向こうに消えた。
「なんなんだ、あいつ……」
ジャンボがひとりつぶやくと、アニメが近づいてきた。その背後では、斬られた金眉会メンバーが二人の生徒に肩を借り、保健室へ向かうのが見えた。
「いま、あいつと同じクラスのやつに聞いた。木本花音――花の音って書いてカノン、だって」
「花音……」
きれいな名前だ、とジャンボは思った。
「サドさんに報告しないと……」
「ううん」ジャンボは否定した。「サドさんに余計な心配かけさせちゃダメだよ。今でさえ、ギリギリの精神状態なんだから」
「そっか」
「わたしが責任持つから、このことは黙ってよう」
「ジャンボだけに負わせないよ」
アニメは頷いた。頼もしいダチだ。ジャンボも頷いた。
ふと気づくと、六十人弱の生徒たちはこの騒ぎに乗じて、勝手に休憩していた。バリケード製作の手は止まり、あろうことか組んだ机の上に座っている者さえいる始末だった。
「さあさあッ」ジャンボは拍手をするように手を叩いた。「みんな大好きケンカショーの時間は終わりだよ。さっさと組み上げるんだ」
【つづく】
[ 2011/10/25 21:56 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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TB(0)
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CM(1)
『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第52話
【同性愛の性描写あり。子供、板野さんヲタ、矢神さんヲタは読んじゃダメだよ。】
■胎動―5■
ダンスの舌はまだクリトリスに触れようとしないまま、ハイジニーナ処理が施されているシブヤの淫襞を這っていた。ダンスの唾液の音も混じっているのだろう、広い家庭科室には匂うほどの淫猥な響きが満ちている。
シブヤは調理用キッチンに寄りかかるように、お尻を半分ほどステンレスカウンターの上に乗せていた。突っ張るように伸びて爪先立ちになった右脚のくるぶしには、下ろされた黒の下着が丸められている。背後に回された両手はカウンターの上に置かれ、シブヤの全体重を支えている。
ダンスは正座をしてシブヤの超ミニスカートの中に頭を突っ込み、シブヤの陰部を仰ぎ見るような体勢で一心不乱に舌を動かしていた。両手はシブヤの太ももに絡まり、太ももや膝の裏を絶えず徘徊している。膝の裏にも性感帯があることを、シブヤはダンスとの関係ではじめて知った。軽く、くすぐるようなタッチでそこに触れられると、あまりの快感で反射的にのけぞってしまう。
ダンスの舌で攻められるのは、自慰より何倍も良かった。もっとも、そうなるまでには何ヶ月もの調教が必要だった。自分が快感を感じるリズムを、シブヤはダンスにアメと鞭ではなく鞭のみで叩き込んだ。少しでもおかしな愛撫をされると、シブヤは遠慮なくダンスの頬を殴った。髪の毛をつかみ、顔を上げさせ、膝を入れた。それでもダンスは献身的な態度を崩さず、ひたすらシブヤの性具であろうとした。
腰が勝手に動き、より強い刺激を求める。その律動に合わせ、ダンスの舌がシブヤの中に出し入れされる。尖った舌先に内壁の戸口を突かれると、そのもどかしさとくすぐったさにシブヤは激しい吐息を漏らした。早くクリトリスを舐めてほしかったが、この焦らすテクニックこそシブヤが教え込んだものだった。焦らして焦らして、まだ焦らす。そして、もう我慢できないというタイミングで刺激されるクリトリスからの快感といったら……。
――早く……でも、まだ……まだよ。まだまだ……。
シブヤは痺れる頭の中でそう願った。
ふと左脚が「お留守」になっていることに気づき、シブヤは閉じていた瞼を開いた。
ダンスの右手はいつの間にかシブヤの太ももを離れ、自分のスカートをめくり、下着の中に突っ込まれていた。その指先も、左手と連動しているのだろう。自分の膝の裏で蠢いている指先と同じ刺激でダンスが自分を慰めているかと思うと、怒りが湧いてきた。道理で左手の動きが単調な、螺旋を描くような動きになっているはずだ。
甘やかしてはいけない。
「ダンス」
「――は、はい?」
スカートの中から顔を出したダンスの柔らかな頬を、シブヤは思いっきりつかみ、ねじった。そしてそのままクレーンゲームのアームみたいに、ダンスの顔を自分の顔の位置まで持ち上げた。「てめえ、なにしてんだよ?」
「あ――ふぁい。ふみまへぇん」ダンスは大きな瞳を見開いていた。
「なんで叱られたかわかって謝ってんのか?」
「ふぁ、ふぁい……。ふぁかりふぁふぇん。ふみまへぇん」
「なんだかわからなくてもとりあえず謝る――てめえのそういうとこ、いちいちムカつくんだよ」シブヤはダンスの頬を、より強くねじった。
「ぃたたた……。ふぁい。ふみまへぇん」
「右手出してみろ」
「ふぁい……」ダンスは恥ずかしそうに従った。
右手は指だけでなく、手のひらまでぬらぬらと濡れ、光っていた。
シブヤは頬から指を離し、ダンスのいやらしい右手首をつかんだ。「なんだこれ?」
「それは……その……」ダンスは顔を赤らめた。
人を辱めるのはゾクゾクする。
もう何百回もしているプレイだが、クリトリスがより充血していくのがはっきりわかった。いますぐダンスに舐めさせたら、一瞬でイキそうなくらいだった。
「なんでこんなになってるんだ?」
「それは私が……自分のアソコを……」
「聞こえねえな。アソコってどこだよ?」
「恥ずかしいところです」
「てめえみたいな人間にも恥ずかしいところがあるのか」
「はい」
「どこだかはっきり言え」
「オ……オベンチョ……です」
ダンスの出身の愛知県ではそう呼ぶところがあるらしい。一番最初にこのプレイをしたとき、シブヤは本当に意味がわからなくてとまどったものだ(もちろん、そんな言葉を使ったダンスには肘鉄を食らわせた)。
「じゃあ、てめえはあたしのオベンチョ舐めながら、てめえのオベンチョもいじってたのか?」
「――そうです……」
「こっち向けよ」うつむいたダンスの顔を、シブヤは前髪を引っ張って元に戻した。「あたしはてめえのオナニーのネタにされてたったわけか」
「そ、そ、そんなわけじゃないです。シブヤさんがあまりに魅力的で、そのシブヤさんの大切なところをご奉仕させていただけるってことに興奮して、つい……」
「あたしが許可するまで、てめえはオナニー禁止だ。あたしがいないところでも、だ。家に帰ってもするなよ」
「はい。シブヤさんから許可がもらえるまで、今後オナニーしません」
「だったら今回の件は水に流してやる。ただ……」シブヤはつかんだダンスの右手を、相手の顔に近づけた。「まさか、こんな汚れた指であたしの体に触る気じゃないだろうな?」
「そんな失礼なこと……」
「じゃあ、どうするんだ? てめえの淫汁まみれになったこの指を……」
シブヤはこのあとでおこなわれる行為を想像して、ますます興奮した。太ももの内側を液体が伝うのがわかった。
ダンスが自分の指を咥えた。暴発してザーメンまみれになった男のペニスを『お掃除』するように、一本一本執拗に舐めていく。自分の愛液を舐めさせるという辱めをただひたすらに実行しているダンスを見て、シブヤはみずからのサディスティックな行為に興奮した。
自分のものを舐めるなんて、気持ち悪い。
シブヤはダンスの舌の動きを眺めながら思った。ダンスはいま、愛液独特の、あのしょっぱさを存分に味わっていることだろう。
シブヤは舐めさせるのは好きでも、自分からするのはお断りだった。そもそも他人の体というものに、口や舌で触れるのには生理的嫌悪感がある。快楽の限りを与えてくれる優子とサドは例外として、他人にキスや、ましてクンニをするなど想像するだけで吐き気がする。
シブヤのサディスティックな欲望のすべてを受け入れるダンスであっても、それは例外ではなかった。シブヤはいままでダンスにキスさえしていない。せいぜい気が向いたときに、指でダンスの「オベンチョ」を触ってやる程度だ(もちろん、汚れた指はダンスに舐めさせる)。ダンスはシブヤの性欲を満足させ、ストレスを発散をさせるだけの存在でしかない。完全な主従関係だ。なぜ主が奴隷の「オベンチョ」を舐めなければいけない?
そもそもダンスとの出会いは、最初からそうだった。
ダンスが舎弟になりたいと、シブヤのギャルサー軍団『ギャルソー』のアジトにやってきたのは今年の入学式翌日のことだった。
「シブヤさんのウワサを聞いて、この学校に入りましたっ」二十人のギャルサーたちに囲まれたダンスは、そう言って腰を九十度に折った。「私もシブヤさんみたいにかっこよくてきれいな女になりたいんですっ。おそばに置いてくださいっ」
ダンスを一目見た瞬間から、シブヤは彼女を気に入った。くりっとした大きな瞳の中で揺れる黒目には、マゾヒストの資質があった。
――イジメ甲斐のある女だ。
ソファに座り、肘掛に体を凭れたシブヤは指先で頬を触りながら、この女をどういうおもちゃにするかを考えた。ムシャクシャしたときに殴るのもいいが、いつも傍らに置いて汚い言葉で精神的にいたぶるのも面白そうだ。しかし、もっとも面白いのはやはり……。
「あたしみたいになりたいって?」シブヤは立ち上がって、「本気でそう思ってるのか?」
「はいっ」腰を折ったまま、ダンスは答えた。
「あたしのためならなんでもするか?」
「もちろんですっ」
シブヤは反笑いを浮かべ、ギャルサーたちを見回した。このあとなにが起きるのかを察知した二十人は、哀れむようなあざ笑うような視線をダンスに浴びせた。
シブヤは立ち上がり、両手をスカートの中に入れた。
「あたしを好きなら――」シブヤはシルクのショーツを脱ぎ、それをダンスに放り投げた。ダンスはそれを、前のめりになって追いかけ両手で受け取った。驚いた表情のダンスはシブヤのサディスティックな嗜好に火を点けるのに充分だった。この女を自分の暴力と性の支配下に置きたいという衝動が、下腹部を熱くした。「舐められるだろ?」
シブヤはソファに腰を下ろした。右脚を肘掛に乗せ、左脚を大きく開いた。
立っているだけで下着が見えそうなくらい短いプリーツスカートがめくり上げられ、シブヤの匂い立つ淫靡な箇所が露わになった。
そこはすでにハイジニーナ処理をしてあり、ダンスには女の体の構造がすべて見えたはずだった。シブヤは自分の体のすべてを美しいと確信しており、そこも例外ではなかった。襞は少しだけ波打つような形状で左右のバランスが良く、まったく垂れ下がっていない。上部にある包皮に包まれた、女のもっともいやらしい器官もほどよく小さい。匂い予防のため毎日ジャムウ石鹸も使っているし、これは完璧な女の体だと自負している。髪の毛と眉と睫以外に体毛のない自分の体は、女ならばだれもが手に入れたいと望むものだろう。
どう反応するかで、ダンスの運命は決まる。拒否をすれば、シブヤはギャルサーに半殺しを命ずる。そうでなければ、はれてダンスも『ギャルソー』の仲間入りだ。
シブヤはダンスを見た。
ダンスはシブヤそのものを目の当たりにし、大きな瞳をより大きく見開いた。「――きれいですっ、シブヤさんっ」
取り巻きのギャルサーたちは、ダンスのその言葉をお世辞と受け取ったのか、ダンスに苦笑いを向けた。
しかしダンスは動じず、躊躇なく近寄ってきた。
「失礼しま……」
語尾を言い終わらないうちに、ダンスの口唇がシブヤの中心に重なった。
「あっ――ああっ……」
ふいに――クリトリスを包皮の上から吸われ、シブヤは強烈な快感に思わず声を上げた。反射的に瞼が閉じ、頭が仰け反った。無意識にダンスの頭を押さえた。脚の指先がローファーの中でぴんと伸びた。そこまでされるとは思っていなかった。
これまでの「テスト」でシブヤが快感を得るなどということはなかった(他人を従属させたという心理的快感は別として)。たいていの連中は申し訳程度に唇を触れるだけで、それは「舐める」と言えるようなものではなかった。
だが、ダンスはちがった。
ダンスは襞の合わせ目に沿って舌を上下してきた。興奮した犬のような舌の動きだった。どれほど経験があるのかと思うほど、それはシブヤの「ツボ」を点いた。この異様な状況に反応したのか、体の奥からはすぐに淫らな汁が溢れ、指で広げる必要もなく、簡単に襞は開いた。するとダンスはその液体を一滴も漏らすまいという勢いで、今度は口唇を使って全体を吸ってきた。その強さは、痛くなる一歩手前のちょうどいいむずがゆさだった。ダンスの頭を押さえるシブヤの指先に力がこもってきた。
――そう、その吸引力……。ああ、ちょうどいいっ……。
状況の異様さも相まって、シブヤはすでにイキそうだった。
二十人の舎弟に囲まれ、会ってから何分も経っていない相手に舐められているという状況が、骨の髄までサディスティックだと思い込んでいたシブヤの心の奥底にあるマゾヒズムの部分を刺激した。
ダンスの舌が、充血したクリトリスを上下左右に舐(ねぶ)ると、シブヤは一分足らずで達した。
こんなことは初めてだった。
しかしシブヤは絶頂に達したことを悟られまいと、ダンスの髪の毛を引っ張って自分から剥がした。本当はこのまま何度も何度もイキたかったが、それは別の機会にすればいいだけ。いまは軍団の長としての威厳を保つほうが大切だった。
「――おまえ……なかなか……度胸が、あるな……」息を切らせながら、シブヤはダンスを褒めた。
「ありがとうございますっ」ダンスの唇は、シブヤの淫らな液でぬらぬらとテカっていた。
シブヤ自身はまだじんじんと痺れている。足らなかった。このくらいでは満足できなかった。
「おまえは今日からあたしの舎弟だ」シブヤは濡れた瞳でダンスを見つめた。「これから、いろんなことを教えてやる」
あれからもう十ヶ月以上が過ぎた。シブヤの意図したとおり、ダンスには資質があった。舌だけでなく、指の使い方もうまかった。教えたのは性技だけではない。シブヤが好きなジュースはなにか。シブヤが好きなパンはなにか。シブヤが嫌いなやつはだれか。シブヤがむしゃくしゃしているときに、どのタイミングで近づいてきて殴られればいいか。
いまではダンスは、シブヤと目を合わせただけで欲望を察知するようになった。飲み物が欲しいのか、お腹が空いているのか、自分を殴りたいのか――それとも舐めてほしいのか。
今日、家庭科室に現れたダンスはシブヤの表情を見るなり、「失礼します」と言ってシブヤのスカートの中に手を入れた。そして黒い下着をするすると脱がせ、頭をスカートの中に入れた。
サドがマジジョの主たるヤンキーたちを集めておこなった会議のあと、シブヤはダンスをこの家庭科室に呼び出した。本当はサドと四天王で、作戦をもっと詰めなければいけないのだが、シブヤは腹が痛いとウソをついて吹奏楽部の部室を出た。
怖かったのだ。
十数時間後に始まる、アリジョとの戦い――。
シブヤはこれまで安全圏でしかケンカをしてこなかった。闘うときには「場」と「兵隊」を用意して二重の「壁」を作った。即席の格闘場がシブヤのフィールドであり、その中でこそシブヤの勝利は約束されていた。たとえ一対一のタイマンであっても、周囲に自分の兵隊がいるのといないとでは、相手に対する心理的な効果がちがう。それを作れないとき、シブヤは決して戦わなかった。
そのスタイルを、サドは卑怯と罵った。どんな場でも売られたケンカを買うのが本当のヤンキー魂だ、と。しかしシブヤに言わせればそれこそ愚の骨頂だ。唾棄すべきヤンキー魂そのものだ。
勝つこと――これがすべてである。
優子はシブヤの闘い方を認めてくれていた。
「おめえはおめえのやりたいようにやればいい」
四天王に就任したときに言われた優子の言葉は、いまでも心に残っている。
――優子さん……。
優子に会いたかった。甘えたかった。抱きしめてほしかった。
せめて、この戦いの指揮を執るのが優子だったら……。シブヤは思わずにいられない。そうだったら、どれだけ心強いか。
マジジョの建物の中で闘うのだから、シブヤのいつもの戦法は生かせるだろう。しかし、前回はたった二人に壊滅させられたのだ。今回は何人を相手にすればいいのか。ギャルソーのメンバーは半分が負傷していて使えないし、山椒姉妹もあてにはならない。前回の轍を踏む可能性は充分にある。
だから怖かった。
自分の指を舐め終わったダンスが、切なげにシブヤを見つめていた。
シブヤは回想を終え、愛くるしいその大きな瞳と目を合わせた。
突然、猛烈な暴力衝動が沸き起こり、シブヤはダンスを殴った。頬へのフックだった。
「――痛っ……」
その強さに、ダンスはよろけて床に倒れた。
右手の指の甲がひりひりする。グローブは着けていなかった。
シブヤはくるぶしの下着を上げ、両脚を通した。
「なんで……ですか……?」顔を上げたダンスの鼻の穴から、お決まりの鼻血が垂れていた。
満足感で、ゾクッとした。
「っせえっ……」なぜ殴ったか、自分でもわからなかった。「ギャルソーの連中、集められる限り集めとけ。多少のケガでもかまわねえ。それで、あたしの命令を五分以内に実行できる態勢でいろ。一時間以内にやるんだ。いいな?」
「は、はい。もちろんです、シブヤさん」
シブヤは踵を返し、家庭科室をあとにした。
しばらく一人になりたかった。
【つづく】
[ 2011/10/11 22:10 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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『濡れ娘。』のDVDをAmazonで販売を開始しました。
先日のダウンード販売に続き、『濡れ娘。』のDVD作品がAmazonでも買えるようになりました!!!
試験的な意味合いもあるので、他のものはこれが売れたら取扱いしようと思っています(笑)。
ちなみにこの『着たままプールは、はじめてなんです。』は、アキバブロードバンドビジョン様では、ただいま同ジャンルのランキング1位です。 →
https://www.abv.jp/products/detail.php?product_id=7979&agree=1
お買い上げくださった方々、ありがとうございます。
[ 2011/09/26 21:17 ]
wet
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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第51話
■胎動―4の2■
作業の分担は一階の正面玄関付近に来る途中で自然と決まった。ジャンボとライスが計測をし、アニメがそれを記録し、昭和がそれらの作業を俯瞰で見つつ指揮を執ることになった。
ジャンボが平松可奈子から渡されたのは、工事現場で使われるような無骨なデザインのメジャーで、生徒会の備品だった。
「それじゃあ、早速始めるよ。ジャンボ、ライス、まずは横幅から……」
昭和が平松可奈子から受取った図面を広げた。
ジャンボがメジャーのテープを引き出し歩き出すと、突然アニメが口を開いた。「――あのさ。みんな……」
思いつめた末の、決意に満ちた声だった。
「なに、アニメ?」ジャンボは訊いた。
「ちょっと気になることがあるんだけど、正直に答えてね。あと、このことは私たちアンダーだけの秘密にして。だれにも言わないでほしいの」
「なによ、アニメ。わたしたちの仲じゃん」ジャンボは肘でアニメをつついた。「わたしはいつでも正直だし、だれにも言わないよ。ねえ?」
ジャンボは昭和とライスに同意をうながした。二人は即座に頷いた。
「いちいち言わなくたって大丈夫。この四人の話しが漏れたことある?」ライスは寛大な母のような笑顔になった。
「心配しないで、おばちゃんに言ってごらん」昭和はアニメの肩を背後から抱いた。
「あんた、さっきは年増って言われて怒ったでしょ」ライスがツッコミをいれた。
「ごめんね、こんなときに急に言い出して……」薄い色のサングラスの向こうにある黒目がちの瞳が細くなった。「あのね、こんなことサドさんに聞かれたらシメられちゃうだろうけど、みんなはアリジョに勝てると思う? 怖いんだよね、私……」
緊張が走った。
口にしてはいけない問いかけだった。
しかしそれはジャンボも漠然といだいていた不安だった。ライスと昭和も黙りこんだ。多かれ少なかれ二人もそう考えていたということだ。
ジャンボはあたりを見回し、アンダーガールズ以外にだれもいないことを確認した。「うちらが――マジジョが負けると思って……る?」
「厳しいんじゃ、ないかなって……」
マジジョの名だたるヤンキーたちが連戦連敗し、さらに四天王まで歯が立たなかったことを考えると、アニメの不安もあながち杞憂ではない。
「でもさ。だからなんとかしようって、こうしてみんなでやってんじゃん」ジャンボは、これはアニメに対してというより自分に言い聞かせているのだと自覚していた。「大丈夫。どうにかなるって……てゆーか、どうにかしないといかんでしょ?」
「もちろんわかってる。わかってるよ。でも、そのために私たちになにができるのかな……」アニメはうつむいた。「前からずっと思ってたんだけど今回のことで、より強く感じたの。私たちってラッパッパに必要なのかなって……」
「そんなことな――」
「ごめん、ちょっと私の話を聞いて」アニメはジャンボの言葉をさえぎった。「優子さんはマジジョに入ったときから頭角を現していて、二年ではすでにサドさんを脅かす存在になってた。私たちが優子さんとは根本的にちがうってことはわかってる。だれもが優子さんになれないってこともわかってる。でも、私たちはもうすぐ進級して二年になる。で――どう? 私たちはなにかやった? アンダーガールズとして爪あとを残せてる? 残せてないよね、だって私たち、アリジョに狙われてないもん」
ハッとした。
マジジョのヤンキーたちが次々とアリジョの刺客に襲われていく中、アンダーガールズの自分たちは平穏に暮らしていた。アリジョの襲撃リストに入っていないのだ。
取るに足らない連中。
いてもいなくてもいい存在。
その他大勢。
そう思われているにちがいない。
いままでも、ラッパッパの正式なメンバーでありながら、四天王と一緒にいても「あれだれ?」、「あんな子いたっけ?」と言われたことは一度や二度ではない。
「私は悔しいの。あたしたちだって、アンダーガールズとはいえラッパッパの一員なのに……。私たちなんて存在価値ないんだよ……。だからこんな雑用みたいな仕事をさせられてるんだよ……」
「アニメ、それはちがうわ」昭和がアニメの真正面に立った。「たしかにわたしたちはまだまだ実力不足かもしれない。けど、だれもが優子さんやサドさんみたいになる必要はないと思う。あんなに飛びぬけた才能の先輩たちに憬れこそあっても、追いつくなんて絶対無理。だからなにもしなくていい、今のままでいいって言ってるんじゃないわ。わたしたちにはわたしたちの役割があって、きっといつかだれかのために身を捧げるチャンスがあるってこと。少なくとも、わたしはそのために日々、努力をしてる。どこかでだれかがそれを見て、わかってくれてるって信じてるから」
そうかもしれない。ジャンボは思う。ラッパッパのリーダーやサブリーダー、そして四天王という響きはマジジョの生徒ならだれもが目指す場所だ。しかし、そこに就けるのはたったの数名。そしてその人物は入学当時から異彩を放っているものなのだ。
努力では到達しえない場所がある――昭和はそう言いたいのかもしれない。
「――あたしも似たようなこと考えてた」ライスは笑顔を作った。「あたしたち、なんなんだろうって思ってた。みんなでケンカをしたときも真っ先にやられるし、優子さんやサドさんや四天王たちに助けてもらうことばっかり。単なる賑やかしじゃないかって。けどね、あたしたちはそれでもラッパッパのアンダーガールズなの。アンダーといったって、ラッパッパの一員なの。優子さんに実力を認められた。それなのに腐ったってしょうがないじゃない」
「腐ってなんかいない」アニメはかぶりを振った。「ただ、悔しくて情けなくて……」
アニメの気持ちもわかる。昭和もライスもわかっているはずだ。
四人は二軍だ。いや三軍かもしれない。
三軍よりは二軍が、二軍よりは一軍がいいに決まっている。バリケードを作る裏方より、表舞台で派手に暴れまわりたい。
けれども、だれもがホームランを打てるわけではない。ゴールを決められるわけではない。バントをしたり、パスをしたりする役目の人間がいなければ、ゲームは面白くない。
自分たちの役割はそれだ、とジャンボは思う。そして、小さな貢献でもだれかが見ていて、その人は自分たちを本当に評価してくれる。
ジャンボにとってはそれがサドだった。
初めてサドに抱かれたのは、矢場久根女子高校との小さないざこざがあった夏の日だった。サドが一瞬の隙を突かれそうになったとき、ジャンボはサドを襲ったヤバジョの生徒になかば反射的に強烈なフックをお見舞いしてやった。その一発はケンカ全体の流れの中ではたいして価値のあるものではなかった。しかしジャンボがそうしなければサドはどうなっていたかわからない。
「さっきは助かった。礼を言う」マジジョの部室に戻るとサドはそう言い、ジャンボをソファに押し倒した。
唇が重なると、ジャンボはその甘さに痺れた。脳が肉体からのすべての信号を快感として認識した。めくるめく夢のような一夜だった。いまでもあのときのことを思い出し、ジャンボはひとり、小さな胡桃を弄ぶこともある。
――自分がいたことは無駄じゃなかった。
あの夜、ジャンボはサドにそう教えられたのだ。
「アニメの気持ちわかるよ……」ジャンボはアニメの肩を抱いた。「でも、わたしたちのやってることって、そんなにつまんないことかな? 地味で目立たないし、だれもわたしたちがやったなんて意識してくれないだろうけど、わたしたちがいまここでやらなかったらだれかが代わりにこれをやることになるんだよ? そのほうが悔しくて情けないことだと、わたしは思う。だれかがやらなくちゃいけないことなら、わたしたちがやろうよ。実際にケンカするだけが戦うってことじゃない。チームフォンデュが医薬品を買出しに行くことだって、バリケードを作ることだって立派な戦争だよ。わたしたちは拳じゃアリジョに勝てないかもしれないけど、あのバリケードがあったから勝てたって言われるようなの作ろうよ。それはきっと、わたしちにしかできないことだから」
ジャンボはメジャーを、アニメだけではなく、みんなに示した。
「だねっ」昭和が頷いて、メジャーに手を乗せた。チームアイドルがライブ前に円形に集まってするパフォーマンスのようだった。「アリジョのやつらが入れないくらい、すっごく頑丈なの作ろっ」
「うん」ライスもメジャーに手を重ね、そして微笑んだ。「あたしたちだって立派なラッパッパの一員だって、みんなに示そう」
「さ――アニメ……」ジャンボはアニメを見た。
アニメは顔を上げ、昭和、ライス――そしてジャンボの順番で見回した。三人はアニメと目が合うと頷いた。
アニメの小さな手のひらがみんなの手と重なった。
【つづく】
[ 2011/09/24 05:53 ]
『マジすか学園vsありえね女子高』
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