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【ネタバレ】『日本沈没』を見た。

 18, 2006 20:57
















 ……全然、面白くなかったデス……。

 ヌルイ。その一言に限る。

 なによりもね、日本が完全に沈没しないのが納得いかんですよ!
 この物語の根底って、どうしようもない運命に流される人たちの、それぞれの選択だと思っていたんだけど、樋口監督をはじめとする製作者たちはそうとらえていなかったようです。
 別に原作通りにやってくれ、とは言わないけど(だから柴崎コウみたいなオリジナルキャラが出てきても、そのこと自体はいいと思う)、原作の持つテイストだけは残してほしいと思うのです。だって、それがなかったら、なんのために『日本沈没』を映像化するのかわからないでしょう。
 まあ、あれだな。運命に流される云々を、『日本沈没』のテイストだと思っているのはおれだけだってことだろう。そうなら仕方ないけど。

 伊集院光がラジオでこの映画をボロクソに言っていて、いくらなんでもそこまで言うことはないだろうと思ってたけど……うん、言われても仕方ないな、これは。
 日本の沈没を食い止めるなんてストーリーに必要か? 日本の沈没は決定事項じゃなかったのか?
 それよりも、故郷や家族や友だちや文化を失うことの悲しみや辛さや、そして滑稽さを表現するほうが、どれだけストーリーに深みを与えるか……。
 もっとも、樋口監督に人間描写ができないことは『ローレライ』でわかってたけど、それにしてもこの作品はちょっとねぇ……。
 
 細かなことを言うと。
 どれだけすごい特撮シーンがあっても、そこに人間臭さが感じられなかった。絵的な素晴らしさはたしかにあるんだけど、人間の息吹が感じられないのですよ。遠景でビルが倒壊するだけでは、よく作ったなぁ、と思うのみ。いい特撮シーンはたくさんあるだけに、物語とそれが融合していないのが残念でならない。
 それから、字幕の多さにも閉口した。特に海底に穴を開けるシーンで、いちいち説明が入るのは画面の邪魔以外のなにものでもない。そんなに細かな説明なくても、なにをしているかは大体わかるでしょう。わからない人は置いていっていいよ、SF映画を見るセンスないから(笑)。しかも、その字幕の文体が、ぼくにはどうにも感覚的に合わなかった。
 政治家が、基本的にはいい人間ばかりだったのも、ちょっとリアリティに欠ける。
 この物語では人間を救う、ということがテーマのひとつになっていると思うんだけど、それをきちんと描くには人間の醜さが表現されていないとダメだと思う。つまり、「人間は醜い生き物だけど、それでも救うべきなのだ」という主張がなされてこそ救うことに意味が出てくるわけで。実際、あんなことが起きたら暴動続きで無政府状態になるでしょう。それを描写してほしかった。

 期待値が高すぎたんだろうなぁ。
 なんだかんだ言っても、樋口監督のことは嫌いになれるわけがなくて。たとえ人間が描けなくても、彼には彼にしか撮れないものがあるのだから。
 樋口監督の、『日本沈没』に関する思い入れは、おれのそれなんかより、よっぽど大きいはず。だから彼が日本を沈没させない、というユルい選択をしてしまったことに納得がいかないんですよ。『ガメラ3』の渋谷炎上シーンのコンテを見ながら「死ね、人間ども」というようなことを言っていた、あの樋口監督はどうしてしまったのか……。おれは、あの樋口監督が好きだったのに……。 

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