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『マジすか学園vsありえね女子高 AKB48×アイドリング!!!』 第77話

 04, 2015 23:06
 ■決戦―13■



 全力疾走で生徒会室から戻ったアニメの、息も絶え絶えの報告を受け、サドは吹奏楽部部室内を大股で歩き、ソファに座る大島優子の元へ急いだ。
 生徒会そのものが壊滅し、機能を停止したとなると、作戦を根本から考え直さなくてはならなくなる。しかし敵はもう、すぐ近くまで来ているのだ。新しい作戦を立て、部隊を再編成し、そして備える。そんなことが短時間で可能だろうか……。
 サドの尋常ならざる様子に気づいていないのか、大島優子は平然とした口調で言った。「どうした?」
 「生徒会室が鳥に襲われ、生徒会の役員たちが全員負傷しました。峯岸が、指揮権をラッパッパに委譲する、と……」
 サドは優子を見下ろしながら説明した。
 「なにが指揮権の委譲だ」優子は小さく鼻で笑った。「最初からあいつらにできっこねえと思ってたぜ」
 この戦争の指揮権が生徒会にあることを、サドはもちろん優子に話してあった。サドはそのとき、優子の叱咤を覚悟した。実戦経験のない生徒会に指揮などできるわけがない、と優子に言われることを――。
 しかし優子は「そうか」と一言つぶやいただけで、叱咤はおろか詳しい事情を聞こうともしなかった。サドは不思議に思ったが、そのときは他にやることが山積みになっていて、深く考えなかった。しかし、今になれば優子の態度に納得できる。
 生徒会が崩壊することを、優子は予測していたのだ。
 「鳥の襲撃がなくても、戦闘が始まれば遅かれ早かれ、生徒会はアップアップになって、うちら――ラッパッパに助けを求めに来たはずだ」
 優子が立ち上がろうとしたので、サドは右手を差し出した。優子はそれを握り――温かい手だった――支えにしてすくっと立った。「みんな、行くぞ」
 「え……どこへ、ですか?」シブヤが言った。
 「そろそろあいつらが校内に入ってくるころだ。顔を見たい」
 「そ、それは――」
 吹奏楽部の部室がざわついた。
 「優子さんがわざわざ出向くような相手ではありません。こちらでお待ちを」サドは優子の手を少しだけ強く握った。
 初っ端から優子が斃れてしまっては、残った生徒の士気に関わる。
 いや、優子がアリ女ごときにやられるわけがない。しかし優子は病人だ。なにがどうなるかわからない。アリ女は侮れない。
 「あたしがやられる……と?」
 「そうではありません。しかし、優子さんは……」
 「病人だから……か……?」
 サドは答えなかった。それが答だった。
 「心配するな。顔を見るだけだ。拳は使わねえよ」
 優子が、言い出したら人の意見など聞く耳を持たないことは百も承知だが、それでもサドは言わざるを得なかったし、そして最終的には自分が折れるしかないこともわかっていた。
 優子の進路を阻むように立っていたサドは振り返り、シブヤとブラック、そしてアニメとジャンボを見た。それで意志は通じた。
 「それに、あたしには最強のボディガードがいる……」優子は昭和を見つめ、顎をしゃくった。昭和にはそれだけで通じた。
 昭和は準備室の扉に駆け寄り、そして二十分ほど前に自分が掛けた南京錠を解錠した。
 優子は準備室の扉に向かって声を張った。「トリゴヤ――行くぜ」
 少しすると、開いた扉の向こうから、ふらりとトリゴヤが現れた。
 数十分前まで全裸だったトリゴヤは、今はセーラー服の上に波タカ柄の赤いスカジャンを着ていた。そのスカジャンは、まるでそれ以上着ることを拒まれているかのように、二の腕のあたりまでしか袖を通されていなかった。赤く染まった髪の毛は顔の左半分を隠すように前に垂れ下がり、目の周りにはクマのような影ができている。そのため、トリゴヤの朗らかで柔らかい、いつもの笑顔が失われていた。
 「やっぱり、おまえにはそれがお似合いだな」優子は微笑んで、「トリゴヤ、おまえは敵の頭の中を『視』ろ。そして、可能なら――ぶっ壊せ」
 トリゴヤは優子の言葉を聞いているのかいないのか、まったく反応せず、どこに焦点が合っているのかわからない視線を漂わせながら、幽霊がいるとすればこんな足取りであるかのようにふらふらと歩き出した。
 《いきなりトリゴヤをぶつけるのか……》
 サドは優子の大胆な作戦に感嘆した。優子といえど、やはりできる限り闘いは避けたいのだろう。トリゴヤでフォンチーを潰せればそれで良し、ダメでも失うものはないと考えたにちがいない。
 「よし、行くぜ、サド」優子は不敵な笑みを浮かべ、サドの前を歩き出した。背後に、トリゴヤを従えて――。


  【つづく】

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