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鉄の処女。

 23, 2008 04:53




 浜本隆志『拷問と処刑の西洋史』を読んで、「やっぱりそうだったか!!!」と思ったことがある。
 鉄の処女――アイアン・ヴァージンのことだ。
 ぼくは以前から「これは本当に使われていたのか」と疑問を持っていた。
 というのも、この装置には実用性がないように思えるのだ。
 この針で人を刺すことは無理なのではないだろうか? だって、扉は弧を描いて閉まるわけで、当然まっすぐな針も同じ動きをする。自分がこの中に入ったつもりになって想像してほしい。弧を描いてきた針は、斜めに身体に向かってくるから、これを身体に突き刺すにはかなり難があると思えませんか? 針ではなく、水平に設置された刃なら問題ないけど。
 また、人間の身長はバラバラなので、この針の位置が「急所を外して」あるというのにも信憑性が欠ける。同じ鉄の処女でもモノによっては顔に当たる位置に針があり、中の人間の目を刺すようになっていたようだが、目が必ず同じ位置にくるわけでもない。骨はけっこう硬いので、一箇所でも針が骨に当たるとなかなか閉めることはできなさそうだ。周りに機械的なギミックもないから、本当に使っていたとしたら人力で閉めていたのだろうけど、何人がかりでやったとしても(この装置の大きさから考えると五六人で閉めるのがやっとだろう)針が骨に当たったらかなり難儀だったのではないか?
 というわけで、ぼくは子供のころになにかでこの装置を見て以来、「これは本当に使われていたのか」と思っていたのだ。
 で、このあいだ本書を読んでみたら、『「鉄の処女」の虚像と実像』という章があって、それを読んだら納得できた。
 どうやらこれは、後世の好事家たちによって「作られた」ものらしい。詳しくは本書を読んでほしいが、つまり鉄の処女が実際に拷問や処刑に使われたことはないのだ。

 しかし、それでもこの装置が圧倒的なインパクトを持っていることはたしかで、ぼくもこのデザインはすごく好きだ。
 「鉄の処女」という名前もセンスいいし、なによりこの装置のマリアの「顔」が怖い。おかっぱなのも不気味で、全体的に優れたデザインだと思う。
 この装置のレプリカがある明治大学の刑事博物館には、前に一度行きかけたのだが、寸前で友だちがそんな気持ちの悪いところはやっぱり嫌だと言うのでやめた。どなたかご一緒しませんか(笑)。

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