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【ネタバレ】『ダークナイト』を見た。

 13, 2008 22:36
 『バットマン』シリーズは1,2作目のみで、このあいだテレビでやった『ビギンズ』も見てないというのに、『ダークナイト』を見る資格があるのかと思ったが、評判がいいので見てみた。
 で、感想。

 これは、すげぇ!!!

 以前から、昔ながらのヒーローというものに疑問を持っていたぼくにとって、この『ダークナイト』はひとつの解答をしてくれた。
 その疑問とは、

 「正義のヒーローは社会にとって必要なのか?」

 というものだ。
 いわゆる、だれもが考える「正義の味方」とやらが求められていた時代は、たしかにぼくの中にあった。「悪」が誰の目にも明らかで、それを倒すものは「正義」でいられた。少なくとも、若い頃のぼくは単純に、そう思っていた。
 けれども成長するにしたがって、正義と悪に明確な境界など存在しないことが明らかになっていった。少しは大人になったのだろう。その頃からぼくは、ヒーロー物を見なくなっていった。漠然と、正義の味方なんて論理的には存在しないと気づき、何十年も前の価値観に基づいている作品に愛想が尽きたのだ(今でもそういう作品は存在している)。
 ヒーローが守るべき人たちは、善良ではない。彼らは悪を必要としている。頭の悪いぼくは、このことに気づくまで30年以上もかかった。恥ずかしい。
 それでもヒーローを描いた作品は欧米や日本でも作られ続けている。単純な二項対立物が圧倒的に多いが、ぼくはそうではないものを見てみたかった。911テロ以降に作る、ヒーローの意味を問う作品を。
 『ダークナイト』はまさにそれだった。
 本作品のバットマンは変わりゆく社会の中で、ヒーローであり続けようとする。彼は人を殺さない。どんな悪党でも捕まえるだけだ。これはヒーローとして最低限のモラルであると自覚しているのだろう。
 片や、ジョーカーは誰でも殺す。仲間でも関係ない。悪のための悪を行使する。もっとも、こういうキャラクターは今までにもいた。しかし本作品のジョーカーが際立っているのは、そのことを常に誰かに突きつけるからだ。
 昔から、悪者が善良な市民を人質にとり、ヒーローに武装解除や死を要求するというストーリーのパターンがある。この場合、人質は自分の命などどうなってもいいと言ったりするが、大抵はヒーローの活躍で助かる。これにひとつの解決を見せたのが永井豪の『バイオレンスジャック』であったり、『仮面ライダー龍騎』であるわけだが、多くは「早業」とか「援軍がタイミングよく来る」とか「悪のミス」で解決する。
 ぼくはこういうパータンを昔から「ズルい」と思っていた。
 『ダークナイト』は延々とこのパターンの変形が繰り返され、時には主要キャラクターが死んでしまう。これはかなり画期的な展開だろう。
 なんでもやれる悪に対し、ヒーローは自分に課したルールを守らなくてはいけない。これでは悪を倒すことなど無理ではないか。そして現実の世界も、これと同じことが起きている。所詮は、無法であろうがなんだろうが、暴力を振るう者が強いのだ(このあたりのジレンマは新井英樹の『ザ・ワールド・イズ・マイン』でも描かれている)。
 つまりヒーローは基本的に無力である。
 正しい目的や、やむをえない事情があるならば、その一線を越えてもかまわないとする立場もあろう。本作品でそれを具現化しているのが検事というキャラクターだ(途中で半身が異形となり、コインの裏表に運命を委ねるのは、彼が正義と悪の立場を持っていることをあらわしているのだと思う)。法で撲滅できない悪に対しては実力行使しかないと、方向転換をする彼はある意味で正しい。やっていることはメチャクチャだが、彼の怒りは人間として同情できる。彼は彼なりに、最終的には悪を倒すつもりだったと思う。しかし、そうであっても彼は「正義」と対立する。
 つまり、正義を貫徹しようとする者は、正義そのものと対立してしまうのだ。この作品のテーマはこれではないか、と思う。
 その検事を、バットマンは遂に殺してしまう。行きがかり上であったとしても。だからバットマンは自らが検事の罪をも被り、「犯罪者」として生きることを選んだ。この瞬間、バットマンはジョーカーと同じ立場になってしまったのだ。真実はどうあれ、二項対立の図式に照らせば、市民の側からは追うべき者でしかない。
 これは、何度もバットマンに勝負を挑んできたジョーカーの勝利でもある。
 それでもバットマンは今後も戦っていくのだろう。しかしそれは、もはや悪と悪の潰しあいでしかなくなってしまうのかもしれない。

 とにかくどうでもいい勧善懲悪物しか作っていない連中(だれのこと言ってんだ?)は、この『ダークナイト』を見て勉強すること!!!

 あと、平たい感想としては、検事のキカイダーメイクすげえ。あれ、どうやってるんだろう? と思いました。

 機会があったら、もう一回くらいは見に行きます。

■こちらは、まだ見てないけど、近いうちに必ず見ます。↓
     

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