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【ネタバレ】『重力ピエロ』を見た。

 15, 2009 19:38
 伊坂幸太郎の原作はずいぶんと前に読んでいたが、きどった作風の割にはミステリとしての新味もなく、では文学的に深みがあるかと言うとそうでもなく、どこか底の浅さを感じたから、それ以降伊坂作品は読んでいない。もっとも伊坂作品に限らず、最近のミステリはそういうものがとっても多くて、初めて読む作家に失望させられることが多い。ま、時代がおれの好みと合わないだけで、他の人たちは楽しんでいるのだから、ぼくみたいなオッサンが「こんなの読むなら鮎川哲也のほうが数百倍面白い」などと言っても意味ないんだろうなぁ。
 というわけで映画『重力ピエロ』だ。
 結論から言ってしまえば、なんとも不愉快な作品だった。後味が悪いと言うか、「おまえら、本当にそれでいいのかよ!!!」と作中人物たちに言ってやりたくなった。
 泉水と春のそれぞれが葛城を殺そうとし、結果的に共犯関係になったことはいい。いいと言うか、気持ちはわかる。殺したいのなら仕方ない。ただ、問題はその後だ。
 なんなら自分がすべてをかぶることもできたはずなのに、泉水は自分はおろか、春にも責任を取らせる気配すらない。そして父も二人の行為を完全にわかったわけではないのだろうが(映像のニュアンスではバットを見つめているから暴力的な事件がおきたと推察していると思うけど)、深くは追求しない。
 つまり家族ぐるみで殺人を隠蔽したわけだ。まあ、これもわからないではない。だけどやっぱり、ぼくはこれは不快だ。特に父親の態度。たとえ自分にとっては子供でも、世間的にはもう立派な大人が大罪を犯したのだから責任を取らせるべきだろう。それが親の愛ではないか? 親として子供をかばう気持ちと、一人の人間としてやったことに対するペナルティを与えるということは両立できるはずなんだが……。
 そしてこの映画は、この家族の選択を肯定したまま終わる。しかも「いい話」風に……。いやいやいや!!! いい話でもなんでもないだろう、これ。
 映画館で配られていた、仙台をアピールする冊子を読んでみると、「家族の愛」を押し出していることがわかる。でも、人殺しをかばうことが「家族の愛」なのか?
 映画の中に何度も「最強の家族」というせりふが出てくるけど、見終わった後ではその言葉が白けるだけだった。こんな家族のどこが最強なんだろう。まるで、悪人なら殺してもいい、とでも言っているかのようだ。この点を、この映画に感動した人に聞きたいよ。まあ、日本の多くの人たちは死刑が大好きだから、殺してもいいと思うのかもしれないけど。
 これと同じく「感動」で、作中人物の犯罪を「許す」トーンの映画が『容疑者Xの献身』だ。あれも、あるキャラクターが人間として許しがたい犯罪を犯しているのに、最後のほうは「純愛って素敵!!!」みたいな雰囲気で終わっている。ぼくは「あのー、こいつのしたことサイテーなんですが……」と言いたくて仕方がなかった。

 なんかさ、この手の物語に「感動」って……みんな、おかしくね?

 どんなことでも感動できる人は本当に羨ましいよ。ぼくみたいな卑屈で斜に構えて生きているような人間は、いちいち細かいことが気になって素直じゃないから、作り手の意図通りに映画を見られないッス。

COMMENT - 4

上戸ともひこ  2010, 11. 26 [Fri] 04:43

Re: 全く同感です!!

>toppo0079さん
 コメント、ありがとうございます。
 伊坂原作作品では、『鴨とアヒルのコインロッカー』も、同じ思想に基づいているように感じました。
 悪人にはなにをしてもいいとか法で裁けないなら私刑も許される、とでも思っているのでしょうか。

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toppo0079  2010, 11. 25 [Thu] 16:52

全く同感です!!

映画「重力ピエロ」の感想、全く同感です

Edit | Reply | 

上戸ともひこ  2010, 03. 11 [Thu] 05:46

Re: 全く、同感!

>レンタルヴィデオさん
 はじめまして。コメント、ありがとうございます。
 この映画の感想に同感いただき、嬉しいです。もっとも恐ろしいのは、多くの人はこの作品が描いた家族関係に納得してるってことです。

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レンタルヴィデオ  2010, 03. 10 [Wed] 09:52

全く、同感!

こんにちは。
私も今さらながら重力ピエロをレンタルして見ました。
全く納得がいきません。

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